KINDAN | ナノ





好き・すき・スキ









センセと想いを通じ合わせて…

今、ホントに幸せ…

こんなに幸せでいいのかな

隣に眠る裸の貴女を愛しく想う





暫く彼女を眺めていると、不意に目を覚ました



『…ん…やだっ!…私、いつの間に寝てたの?』



僕に見られていると知って恥ずかしがって布団で顔を隠す



「うん!寝言を言ってたよ?嵐士が好きって…」

『嘘っ!言ってない!!』

「え…僕の事、嫌いなの?」

『…違う…そうじゃないよ。…大好きよ…嵐士…』



布団から覗かせた目で必死にそう伝えてくる君は…

可愛くて…

誰にも渡したくない

そっと抱き寄せて、啄むようなキスを繰り返した

僕の肌と貴女の肌が触れ合って、そこから熱を帯びる

僕の心の闇を知っても離れないでいてくれた

それどころか、毎日気付かされる貴女の魅力に僕の方が填まっている

幸せを感じれば感じる程、ホントは昔の事を思い出して苦しくなってるんだ

貴女に…見せたくないよ













この薄い下唇が好き…

桃のようにピンクに染まった頬が好き…

くっきり二重が好き…

小さな耳たぶが好き…

はっきり主張してる鎖骨も

細い指も

ぷよぷよしたお腹も…



『…あっ…嵐士…』



声も…好き…

心の中で呟くたくさんの好きをキスで伝える

だけど一番好きなのは、僕を包んでくれるそのハートが…大好き…



「美花…好き…大好き…」





















私をたくさん愛してくれる貴方の寝顔…

すごく好き

私は知っているよ

貴方の鎧を…

この赤い髪も、ピアスも、カラーコンタクトも…

あまり強いとは言えない貴方の心の鎧なんだって…

私は…貴方の支えになってる?

人は、無意識に自分がしてほしい事を他人にしてあげたりするんだよ…

嵐士の愛し方を見ていると…

こんな風に愛されたいんだとよくわかる

彼の頬に触れると、彼が擦り寄ってきて私の胸に顔を埋めた

すごく…すごく…

愛おしい気持ちで一杯になり、彼の頭を抱き寄せて髪にキスをした












彼の赤い髪が好き

ネコ目が好き

繊細な旋律を奏でる長い指が好き

細いのに意外と筋肉質なお腹も

男の子なのに華奢な肩も

はにかんだ笑顔も



「…ん…」



彼の声も好き

だけど…彼の純粋な心がすごく好き



『嵐士…大好きよ…』



















ある日、昔書いた歌詞が出てきた

全部捨てたと思っていたのに…

あの頃…

彼女が転校して行った時に、泣きながら書いた歌詞…

僕の心は罪悪感で一杯で、涙の痕が至る所にあった

誰にも見せずに、全部捨てたはずだった

何で今頃になって…

センセに…美花に見られたくない

そう思ってくしゃくしゃに丸めて教室のごみ箱に捨てた

それを…美花に見られていた事に気付かずに…

















珍しい…

普通の何でもない日に美花からのお誘い♪

やっぱり、付き合っている彼女から夕食に誘われるのってホントに嬉しい

でも…何かあったのかな…

そう思いながらも彼女の部屋へ向かう足取りは軽かった




















ピンポ〜ン♪



嵐士を部屋に招き入れた

夕食をごちそうするからって…

でも、私にはしないといけない事がある

嵐士がごみ箱に捨てた紙を彼の前に差し出した

彼の凍りついた表情に私の胸も痛む

でも…



『嵐士…捨てちゃダメ!!あの頃の貴方の想いも、彼女への想いも…』



彼の頬を両手で包み込んで、ありったけの私の想いをぶつけた



「…コレ…捨てたのに…何で美花が持ってるの?」



今にも聞こえなくなりそうな…か細い声…



『貴方がごみ箱に捨てるのを見たの…すごく辛そうに、今にも泣いてしまいそうな顔をして…』



彼が目を伏せる

すると、大粒の涙がポロポロと零れ落ちた



『嵐士…私ね?過去に嵐士が何をしていようと、それを含めて今の貴方が好きなの…。昔の事に囚われている事は決して悪い事じゃないよ?人はたくさんの失敗もする。だけど、ちゃんと反省してやり直すチャンスも与えられている…。忘れたら…ダメなんだよ。忘れたら…』



ちゃんと伝えないといけないのに…声が出ない…

嵐士と一緒に私まで泣いてしまっていた



『うぅぅ…あの頃の…傷ついた自分まで…捨てないで…』

「…僕…ボ…ク…美花の為に…忘れなきゃ…て…思って…」

『うん…知ってた…黙ってるつもりだったの…だけど…』



彼の長い指が伸びてきて私の涙を拭う…

そして、そのまま…

彼に抱きしめられた…



「美花…好き、大好きだよ…」

『…嵐士…うん、私も嵐士が大好き』



震える肩をそっと抱く



「僕は…卑怯者なんだ。なのに…それでも、いいの?」

『…それも含めて、好きなの。
この歌詞ね、すごく素敵だと思う。嵐士って天才だね♪』



その時…



グゥ〜キュルキュルキュル…



「……」

『……』

「…今のは…美花のお腹だよね?」

『ち、違う!!嵐士でしょ!!』



二人で顔を見合わせて、微笑んだ



「どっちのお腹も…なったんだね…」

『うん。ご飯にしよっか?』












涙が溢れて止まらない

僕の心の弱さが胸を締めつけるよ

いつか行けるかな…あの場所…

あの時のような笑顔を取り戻せたなら

この声、貴女に届くといいな…















-end-

2009.11.04


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