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A・C・P-アニマルコスプレパーティー





「わお〜♪キュート!!美花ちゃん、かわいい♪」

『そ、そう?ありがとう…用意されてたのを付けただけなんだけど…』



今日は、SEQUENCE MUSICのパーティー

ただのパーティーではなくて…

アニマルコスプレパーティー…



所属のタレント、アーティストは用意された小物を付けたり着たりするんだけど、私に用意されていたのは…

ウサギの耳と尻尾…

人参のピアスに…

人参のフェイスペイントだった



「ウサギのイメージにピッタリじゃん♪」



櫂は喜んでくれているみたい…



『そう?なんだか、恥ずかしいんだけど…』



お尻に付けている尻尾が取れてしまわないか、すごく気になっている

気がつくと、櫂の顔が近くにあって胸のドキドキが大きくなる



『ち、近いよ…櫂…』

「ねっ?…俺は?」



そう言って私から少し離れると、クルッと回ってみせた

ゼブラ柄のフード付きのコートは櫂にピッタリで…



『シマウマ!!櫂によく似合ってるね♪』

「櫂のは、スタイリストさんに自分だけ頼んだ特注…」

『瑠禾?』



お皿に大量のポテトサラダを入れて口をモグモグさせ、猫になった瑠禾が現れた



「ルカちん、特注なんてしてないよ!俺は、こうなったらいいなぁって意見を言っただけで…』

「美花、ウサギさん。かわいいね…」

『あ、ありがと…。瑠禾は、黒猫?』

「にゃ〜ん…♪」



ほっぺの横で右手に持っていたフォークをギュッと握り、招き猫のポーズをとる瑠禾は猫に成りきっていて…



『瑠禾の尻尾、ゆらゆらしててかわいいな…』



私が瑠禾のお尻を覗き込むと、後ろを向いてお尻を左右に揺らす

その動きに反するように、猫の尻尾がユラユラと揺れる



「あー!!美花ちゃん、俺にもかわいいって言ってほしー!」

『櫂は…かわいいじゃなくて、カッコイイよ?』



私がそう言うと、櫂の表情がパーッと笑顔になる

そして、両手を広げて私に抱きつこうとした



「美花ちゃー……あれ?」

「離れろ…櫂…」



櫂は…雅楽に抱きついていた

眉間にシワを寄せてプルプルと震えている雅楽



「もーう…ガックン!何で俺と美花ちゃんの間にいるの?」



今にも喧嘩が始まってしまいそうな雰囲気…



「美花、こっち…」

『瑠禾…?』



その場から離れるように瑠禾に促されて手を繋がれる



「こら!!瑠禾、美花をどこに連れて行くんだ!」



会場に響く雅楽の声…



「雅楽も櫂もうるさい!!」



瑠禾が二人を睨むと



「わ、悪かった…」

「…う、うん…ごめん…」



瑠禾の怒りを買ってしまった事に気がついた二人はシュンとして瑠禾に謝る

それまでの怖い表情からニコッと笑みを浮かべ、私に笑いかける



「…雅楽はイヌ…」



その言葉通り雅楽には犬の耳と尻尾が付いていて、頬には骨のフェイスペイントがされていた



『これって…』

「うん、ポメラニアンだね…」



尻尾が特徴的で、雅楽の印象にピッタリ



「小さいのにキャンキャン吠える」

『っ!!瑠…』



私の心を読んだのかと思ったくらい、図ったようなタイミングでの瑠禾の言葉に笑いを必死で堪える



「なっ!!」



瑠禾の声が聞こえたようで、何かを言いかけて雅楽が黙った

きっと、キャンキャン吠える…が、雅楽を黙らせたんだろうな



「ガックン!イヌのイメージあるよ♪」

「うるせぇ!」



真っ赤な顔をした雅楽は横を向いてしまった

声をかけようとした時…



「あ…」



瑠禾のその声に振り向くと…



「また、お前らか…」

「やぁ!」



ため息をつく七蔵さんと新山さんがいて…



『あ…おはようございます!』

「夜なのに、その挨拶。業界人っぽいな…」

「業界人なんだよ!!また、現れたな!」



いけない!

雅楽と七蔵さん、喧嘩はじめちゃう…



「二郎!今日は人が多いから我慢しないと…」



新山さんの言葉に、七蔵さんの動きが止まりホッと一息をつく



「おはよう、美花ちゃん♪」

『おはようございます』



新山さんの頭にも雅楽のつけている耳にそっくりな耳が…

でも、新山さんがつけている耳の方が大きいかな



『新山さんも、イヌですか?』



その問いに後ろを向いて尻尾を見せてくれた



『あ…この尻尾は、キツネですね?』

「正解!嫌いじゃないんだよね♪」



何だか嬉しそうに尻尾を触っている



「でもさ…凄いよね…」



櫂の言葉に絶句した…



お腹がすいていたらしく、オードブルを取りに行った七蔵さんは誰が見ても明らかで…



「ガックンとお揃い…?」

『あ…犬猿…』



イヤーワッフルに細長い尻尾、頬にはバナナのフェイスペイント…

雅楽と並ぶとまさに犬猿…



「ぶっ…」



ぶっ?

瑠禾の興味はもう違うところに向いていて…

その視線の先を見ると、サインに応じてる龍がいた



「…わかりやすいね…」

『うん?何だろ…。シカかな?トナカイにも見えるけど…』



大きな角と短めの尻尾、龍らしくない白いファー…

やっぱり、トナカイ?

この時期に…?



「これ、絶対龍に似合う…」



瑠禾は自分の首についていた大きな鈴付きのリボンを外すと、龍に近寄って話しかけていた

サインをしてもらっていた子たちの歓声が上がる

瑠禾がファーの上から龍の首にリボンをつけると、トナカイにしか見えなかった…

満面の笑みを浮かべて小走りで瑠禾が戻ってきた



「ね?龍にピッタリ♪」

『うん♪…でも、瑠禾の首が寂しくない?』



瑠禾の大きな目がもっと大きく見開いた



「…じゃあ、美花がつけてるバンダナを俺の首につけて?」



なぜか瑠禾はジタバタと足踏みをしてる…

そんなにこのバンダナを付けたかったのかな…?



『いいけど…そんなに気にいったの?』

「…美花が付けていた物だから意味がある…」



ご機嫌になり、目が早くと私を急かしてる



『ちょ、ちょっと待ってね…』



手首に巻いていたせいか、中々バンダナが外れない…



「ちょい貸しいな…」

『っ!…びっくりしたぁ…佐藤さん、来てたんですね?』

「堅司が湧いた…」

「湧いてないわ!…ほいっ、一丁あがり!!」

『ありがとうございま…佐藤さん?』



小さな耳に、目の周りが黒い…?



「堅司、タヌキ?」

「アホ!タヌキちゃうわ…」



そう言って項垂れた佐藤さんの後ろに回ると、シマシマ模様の尻尾に思わず笑みが零れた



『フフ♪佐藤さんアライグマですね?』



私の言葉に、佐藤さんの顔がパァーッと明るくなる



「美花!オマエだけや、わかってくれるのは…」

「アライグマ…はい…」



瑠禾が佐藤さんに何かを渡す



「なんやねん、コレは?」







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