バレンタイン大作戦
バレンタイン当日…
JADEはツアーの真っ最中だった
私にもライブチケットは届いたけど、仕事の都合でどうしても行けなくて…
だけど私は夏輝さんに逢いたくて、JADEの泊まっているホテルまで来てしまっていた
ホテルの回りはJADEのファンの子たちで一杯だった
――そりゃあ、そうだよね…
ファンの子たちに見つからない様に夏輝さんに電話をかける
『あ…夏輝さん!美花です。今、ホテルの前に来てて…
あの…今から逢えますか?』
「えっ?美花ちゃん、来てるの?待って…えっと…抜け出すの無理だから人を迎えにやるよ
だから、ちょっとそこで待ってて」
ピンポーン♪
カチャッ
『夏輝さ……きゃっ!』
部屋のドアが開くと同時に腕を引っ張られ部屋の中へ…
「今日、逢えないんじゃなかったの?」
『な……夏輝さん……』
部屋の中に入った瞬間…
私は夏輝さんの腕の中にいた
そっと彼の背中に腕を回し、頭を胸に押し当てる
――夏輝さんと…夏輝さんのタバコの匂い…
「美花ちゃん、逢いたかったよ…」
『夏輝さん…私もです。今日はごめんなさい…私…』
「仕事だったんだからしかたないよ。だけど、逢いに来てくれて…ありがとう」
そして、私のオデコにキスを落とす
嬉しさと恥ずかしさが込み上げてきて、顔がどんどん赤くなっていくのを感じる
「クスッ…。さ、ソファに座って。飲み物、何がいいかな?…紅茶淹れようか…?」
『はい!夏輝さんの淹れてくれる紅茶、大好きです♪』
二人で顔を見合わせて微笑みあいながら、鼻先を擦り合わせた
「かしこまりました♪」
私は夏輝さんの淹れてくれた紅茶を一口飲むと、本題に入った
『夏輝さん!あの…今日来たのは、バレンタインだからで…』
「うん…」
夏輝さんの優しい表情に心臓が飛び上がる
――ううう…その顔、反則だよ…
『あの…夏輝さんの口に合えばいいんですけど…』
夏輝さんは私の差し出したチョコレートを受け取ると、とびきりの笑顔で抱きついてきた
「美花ちゃん!ありがとう♪…開けていい?」
私は恥ずかしくて俯いたまま、小さく頷いた
「あっ!これ…この前一緒に見たテレビに出てたやつ…。俺が食べたそうにしてるの…わかってた?」
『やっぱり♪よかっ…んっ……』
最後まで言い終わらないうちに、私の口は夏輝さんに塞がれていた
何度も何度も…
夏輝さんの熱を感じる
「ありがとう、美花ちゃん。俺のちょっとした表情…見逃さなかったんだ…」
『当たり前です。夏輝さんが思っている以上に、私は夏輝さんが…大好きなんですよ…』
夏輝さんが喜んでくれたのがすごく嬉しくて…思わず口に出した自分の言葉に照れてしまった…
「…ねぇ…。今夜、泊まってく?」
夏輝さんの思いがけない台詞に、返す言葉に詰まってしまった
「…ダメ?」
――だから…反則だから…その顔…
『…いいえ…大丈夫で…す…』
「そっか…よかった」
私を抱きしめながら夏輝さんが笑う…
やっぱり今日、夏輝さんに逢いに来てよかった…
優しい…美花の…
美花だけの…夏輝さん…
世界一愛してます
-end-
2009.02.15
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