太陽のタマゴ
『いい天気!気持ちいい♪』
「はは、せやんな。ちゃんと帽子と日傘さしとき…紫外線が強いんやから…」
『…はい…』
久しぶりの慎之介さんのオフ
疲れて休みたいだろうに、私のために近くの海岸に散歩へ連れ出してくれる
いつも私の傍にある当たり前の幸せ…
貴方がいるから…
貴方が私の傍に居てくれるから…
私は自然に笑みがこぼれる
少しずつ、少しずつ育んできた私たちの愛
二人で育んだものが、今は一つの形としてこの世に生を受けた
「パパー!」
「んっ?どないした…?」
私と慎之介さんの宝物
「こんな おっきいかい みつけた」
「そらおっきいなぁ!ママにも見せたり」
「うん♪」
私たちの笑顔はこの子によって引き出されてるのかな?
違うよね?
私と慎之介さんが笑顔だから、この子も笑顔なんだよね?
「ママ!ほら、なっちゃんがひろった おっきいかい!」
『ホントにおっきいねぇ♪これ持って帰る?』
「うん!みっちゃんにあげるの!なっちゃん、おねえちゃんになるから」
そう言って私のお腹を優しく撫でる、愛しい我が子
新しい家族が私のお腹に宿っている
なぜか、我が娘はお腹に向かって《みっちゃん》と言う
まだ、男の子なのか女の子なのかもわからないのに…
この子の名付け親になるのかしら…?
「なっちゃん!カニさんおるで!」
「カニさん?」
真夏の太陽に負けないくらいのとびきりの笑顔の慎之介さん
海に太陽の光が反射して、尚も慎之介さんをキラキラに映し出す
いつまでたっても私は彼にドキドキしている
初恋を知ったばかりの女の子のように…
そっと二人の元へと歩み寄る
「ママ!カニさん!!」
まだまだ無邪気な我が子も、身を焦がすような恋をするのかな?
慎之介さん、大変ね?
「ん?…なんか言うた?」
『うん♪幸せって…』
慎之介さんはとびきりの笑顔で
「俺も…奥さんは優しいし、娘は可愛えし、こんな幸せやったら益々隆やんにどつかれてまうで…」
「パパ!みっちゃんにいつあえる?」
「そうやなぁ…あともう少し待ち。みっちゃんもはようお姉ちゃんに会いたい言うとるで」
「パパ、すごい!みっちゃんとおはなしできるの?」
慎之介さんは娘を抱き上げ
「そう!パパはすごいんや」
得意げに話す
娘の前では、すごいパパでいたいみたい
ねぇ、早くパパとママとなっちゃんに会いにきて…?
みんな、みっちゃんを待ってるから…
そこにある普通の幸せ
慎之介さんに出会ったから、私も手にすることができたんだね
ありがとう…
私を探してくれて
私を選んでくれて
みっちゃん
なっちゃん
そして…慎之介さん…
心から愛しています
私の大切な宝物たち……
-end-
Special Thanks ひろ
2009.08.18
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