MYSTERIOUS THIEF | ナノ





みらいよほう




「もう帰っちゃうの?…ね、もう一回…」

「ごめんねー、明日の講義早いんだ、絶対に受けたい授業だし♪」



僕の周りに群がる女の子は…

僕の顔目的
僕の容姿目的
僕の躰目的…

セフレなんて何人いるのかな…

恋なんて知らない

そんなの知らなくても、女の子の事よくわかってる
どうすれば喜ぶのか
何を言えば甘くとろけるのか
どんな顔をすれば…僕に堕ちるのか
もうわかっている事に時間を費やすなんて、ほんっと無駄

でも

僕に堕ちた瞬間の女の子たちの表情をみる快感は…
美術品を目にした瞬間の高揚感に似ているかも…

だけど
この心の隙間にある虚しさはなんだろう
怪盗やって
ワクワクしてもドキドキしても…
結局、隙間は埋まらない

僕は…何かの病気なのかな…
いくら僕のテクニックで泣かせても
喘がせても
男としての僕は興奮するけど
心の底からは感じていない…

いつか
心の底から欲しくなるような
身を焦がすような恋ができるのかな
美術品でいう贋作のような僕に誰が恋をしてくれるだろうか













「宙、次のターゲット…」



それでも
怪盗の仕事は隙間をほんの少しだけ埋めてくれる
本物の美術品も拝めるし、何より強盗とは違う怪盗…義賊だからね
女の子を堕とす時とはまた違うワクワクを感じている



「へぇ、女の子?」

「彼女は大正のレオナルド・ダ・ヴィンチのひ孫だ」



写真を見る限り、普通の女の子
女子としては星子の方が上だね
ていうか、星子を上回る女子を探す方が難しいか…



「彼女の指紋が鍵になる」



怪盗としても最大の目的を果たすための道具
彼女とはそうして出会った















ほんの数日間一緒に過ごして
同じ部屋で寝起きして
ただ、それだけのはずだった

僕は彼女の見張り役

僕だって、誰かれ構わず節操なしに手を出しているわけじゃない
後腐れなく
関係を割り切れる子じゃないと…興味もわかない

だけど
ただ…隣で無邪気な顔をして眠る君がとても眩しくて美しくて…
このまま大事に誰の目にも触れさせず箱の中にしまってしまいたい
グチャグチャにして壊して誰にも彼女を知られたくない
交錯する様々な思いは僕の心を散々掻き乱し
纏まらない考えも気持ちも何もかも置いてけぼりになった

気持ちを落ち着ける為に眠る君の額にキスをする



「…僕の…ものだよ…君は…」



いろんな想いは紙一重
しまい込んでしまいたいし、壊してしまいたい

僕の名前を呼ぶ彼女の声は…どんなだろう
僕に感じて、僕を欲する時どんな風に懇願するんだろう

そして

彼女の中は…

僕にどんな快感を与えてくれるんだろう

どんなに想像をしても
答えなんて出ない

そっと彼女の手を握る
温かくて、柔らかくて
白い雪のような肌がしっとりと僕に纏わりついてくる

もっと

もっと彼女に触れたい…

この腕の中に閉じ込めてしまいたい

君は…

何を想うの…?

誰を想うの…?

それは僕であって欲しいと願っている
どうやったら、君に本気だとわかってもらえるのかわからないけれど
君にとって唯一無二の存在になりたい
君が僕にとってそうだから…


君だけを

愛してるよ…

これからの僕の全部で美花ちゃんだけを愛すると誓うから…

君の全部を僕にちょうだい…







-end-
title:星空ロマンチカ様
2011.12.22

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