DEVIL | ナノ





しずまれ、このドキドキ



『志貴く…』



言葉を紡ごうとしても彼の漆黒の瞳に見つめられると
それだけで蕩けそうになる

私の視線は完全にロックオンされ



「…美花…」



自分の名前を囁かれると耳が熱くなって…

志貴くんの声以外聞かなくてもいい…なんて気分になってしまう

私って…こんな子だったのかな…

心も全て彼一色になって
彼に触れられた場所から熱を帯び始める

…って、アレ?



『志…貴くん?』

「…ぐー…」



ね、寝てる!!!

メガネかけたままで、私の胸に顔を埋めて…

いいけどね…、いつもの事だし…

もうちょっと
私に興味を持ってほしい…なんて言えないけど

彼の視線や触れられる手からは、彼の気持ちが流れ込んでくるのがわかる

今はそれで十分だよ…


彼のメガネを取って真っ黒でサラサラの髪に指を絡める

呼吸をするたびに背中が上下して、規則正しい息遣いにホッとしながらまぶたを閉じた























『…ん…志貴…くん?』



目が覚めるといつもと違う感触に思わず彼を探す

ついさっきまでそこにいた痕跡は彼の体温の残るシーツ



『どこ…?』



いつも目が覚めると絶対にそこにいるのに…



「あ、起きた…」



漆黒の瞳と視線がぶつかると彼がこちらに近づき、ベッドのスプリングがギシッと音をたてた



『おはよ…』

「…ん…」



当たり前のように伸ばされた彼の腕の中にすっぽりと収まる



『…志貴くん?…どうしてベッドから出ていたの?』

「…見てた…」



志貴くんの言葉は時に簡単で、自分の中だけで処理してしまう事が多い

天才肌だからなのか、ただめんどくさがりなだけなのか

その時々で違うから難しい



『何を…?』



私の質問に志貴くんの指が伸びてきて…

チョンと私の鼻の頭に触れる



『私を…見てたの?』



コクンと頷く彼がとても幼く見えて

だけど…
すぐに疑問が頭の中を巡る



『寝顔…見てた…の?だったら、ベッドから出て…私から離れなくても見れるでしょ?』



わざわざ離れたんだ…

どーして?

彼は自分の気持ちを伝えるのがとってもストレートで…

不器用故なんだと理解してはいる

だけど
たまにその行動も言動も理解できない時がある



「…キス顔…」

『…え?…』

「寝顔とキス顔は違う!…そう言っても誰も聞かない…」



目を伏せてそう訴えてくる志貴くんに驚いた

恥ずかしがり屋で
悪魔界の貴族出身の志貴くん…

彼はプラトニックな関係こそが愛なんだと思っている部分もあって…

その…、そういう行為は結婚をしないとしちゃダメだと思っている

私とは、遊びじゃないから…
するって…
遊びじゃなく、するって…

だから、キスの話やそっち関係の話が出てくる事が…
誰かとそういう話をしているっていう事にも驚いた



「美花の寝顔とキス顔は全然違う…」

『っ!!ちょ、志貴く…』



思っている事をはっきりと口にするのはとても志貴くんらしい

だけど、これは…
は、恥ずかしい…



『ど、どっちでもいいんじゃ…』

「………」



そう言った瞬間、志貴くんにギューッと抱きしめられて…
志貴くんの顔が近づいてきた

あ、キスされる…

そう思うだけで体の奥が熱くなる

だけど、志貴くんの唇を待っても中々私に触れる事はなく
そっと目を開けてみた



『っ!!』



メガネ越しに見る彼の漆黒の瞳が私の視線を独り占めしてそらす事も許されなくなる



「…オレの…目、見て?」



言われたまま吸い込まれる様に志貴くんの瞳を見る
ちょっと潤んだ瞳がキレイで、私を映し出していた
そのまま近づくと私の唇に彼のそれが触れる
どちらからともなく絡まる舌はいつもより激しくお互いを欲しクチュクチュと音を立て始めた

いつも志貴くんの絡まる舌に翻弄されてしまう…
今日は…
志貴くんの熱い視線にも溶けてしまいそうになって…



『…ハッ……んっ!…』



思わず漏れた吐息も彼にすべて絡み取られて…
私は彼に身を任せる

トロンと虚ろな瞳と視線は、彼の気持ちを深く感じ取る事が出来た
こんなに…
志貴くんに愛されてるんだ…私…
私の気持ちも志貴くんに届いてる?

トクン…トクン…

激しく高鳴る鼓動が志貴くんに聞こえちゃう…




「…美花…好き…んっ…」



彼に続いて好きと伝えたかったけれど

私の言葉は彼にかき消されてしまった





志貴くん…

好き…






-end-

title: 星空ロマンチカ 様

2012.01.19






お友達とチューの妄想してて、しーちゃんは目開けてるだろー!
で、これが出来上がりました
変態妄想どうもすみませ…



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