「たとえば、あなたと私とのあいだにひとつの、カウンターテーブルがあるとするじゃない」彼女は徐に両腕を広げた。「私はそこから手を伸ばしたりそれを越えたりしてあなたに執拗に触れることはしないわ。だからあなたも触れないでね」僕は上手く頷けたんだろうか。上手く頷けなかったとしてきちんと彼女を見つめられたのだろうか。僕のマドンナはとてもかなしくて愛しい人だった。
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