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私の様子や態度がおかしくなりだしたのは、マーモンがいなくなる少し前からだったらしい。度々意識を返したように元通りになることもあったらしいけれど、基本的にはおかしな奴だったという。

つまり3年前に入隊したという記憶、それ自体が間違ったものらしかった。じゃあ何が正しいんだ?



「昔のお前は煙草だいっきらいだったし、任務だって嫌な顔ひとつしねーで頑張ってたぜ」

「…知らないよ」


それはきっと私じゃない。


「…まあ、昔のお前というより、…“この世界の”お前といった方が正しいかもしれんな」



一瞬俯いた視線がはた、と上げられる。集団的な慰めの空気で喉がからからだった。皆は私を見据えたが私はてんで違う場所を穴が空くほどに見つめていて、やっぱりそこは『世界』の違い故に起こる狂いなんだろうか、と頭の隅っこで思った。



「……ねえ、今」



彼の声がしたよ?