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「全て話せ」の一言を、彼らはどれだけ待ち望んでいたのだろう。途端に彼らはぱっと顔を上げた。



「ナギサちゃん!本当に話していいのよね?ああ、この日をどれだけ待ち望んだことか!」

「うむ。ボスのご命令とはいえ、流石にこれ以上黙っているのも辛い」

「まぁミーは昔のナギサさんとか?よく分かりませんけどー、」

「ザンザスの携帯番号知らねーっつった時は本気で驚いたぜぇ。一番掛けてたのテメェじゃねえかぁ!」



初めて目を合わせて話し掛けられた。しかも一斉に。ふと隣を見るとベル、がこちらを退屈そうに眺めていた。なに、と口を開きかけた。
それを遮ったのはベルだった。



「昔のお前はそんなんじゃなかった」



昔って何?私は深い海に投げ落とされたような絶望感と諦めの中にいた。もう分からない。私は私が分からないしそれは誰にも分からない。