はいこんばんは。名前です。連載もそろそろ終わりに近づいてきました。なんでかって?これから一世一代の大勝負に出るからに決まってるだろ!!!!! アイドルの次は女優だよ女優。 名字名前、これから、ルシサスになります。 「ちょっとまじで無理ですってばれたら即死っていうかばれなくてもファンに刺されて死ぬ」 「ミーを守って死ねるんだから幸せじゃないですかー」 「もうさっさとリングだけ売っぱらって逃げましょうよ」 「そんなあなたにはミーから1000年地獄で火あぶりにされる幻覚をプレゼント~~」 「申し訳ありませんでした」 骸さんからの電話を受けて事実を知ったおチビことフラン隊長はすっかり元気を取り戻していた。そして骸さんの幻術のおかげでアジトに侵入することができたわたしは隊長との再会を喜ぶ暇もなく次の作戦の決行の準備を始める。 隊長は連日の戦闘と連日のアイドル活動で疲弊に疲弊を重ねていたせいで自分に術をかけるので精一杯になっており、次の作戦「名前ちゃんがルシサスになりきって死亡説を否定してその場を混乱の渦に巻き込み組織の人間をあぶり出す作戦」に使う幻術はすべて骸さん頼みとなっている。しっかりしてくれ隊長。 そして、説明しよう! 「名前ちゃんがルシサスになりきって死亡説を否定してその場を混乱の渦に巻き込み組織の人間をあぶり出す作戦」 とは名前の通り、私がルシサスになりきってロベリア(隊長)とアジトを出て、その場にいるファンたちに「ルシサスは死んでませんでしたーわはは」とやってやり、そしてさらにもう一段びっくりなことを起こすことによって、ただのファンとそうでない奴ら(リングを狙っていたマフィアの人間)をふるいにかける作戦である。もちろんただのファンじゃなかったやつは即殺す算段になっている。 この作戦は完全に「名前がルシサスであると皆が信じて疑わない」という結構無理目なことを前提に組まれており、とりあえず私の命が一番軽んじられていることがはっきりした。やべえ勇気出して助けにくるんじゃなかった。これ一番最初に死ぬとしたら私からじゃん。 まあとにかくこれをおっぱじめないことには成功も失敗もないので、リングを狙いに来るマフィアがアジトに突撃してくる前にまわりのファン(とファンになりすましたマフィア)を撒くのが先決である。 隊長は、例の動画流失のせいで二週間前から24時間ずっとロベリアのままだった。骸さんの幻術によってわたしがルシサスになると、ロベリアが私に笑いかけてくる。よし、今この瞬間からわたしはルシサスだ。 「行くわよ、ロベリアちゃん!」 「はい!がんばります」 会っていなかった1ヶ月の間に隊長のアイドルがますます板についてきたのがわかった。これは本気で連れて帰らないといろんな意味でおわりだぞ。がんばれわたし。玄関扉を開いて手をつないで外へ出る。5階の外廊下の向こうには夥しい数のファンがこちらを向いてずらりと並んでいる。その無数の目が一斉にこちらを向いたかと思うと、わぁっと膨らむようにざわめきはじめる。ああルシサスってどんな口調だったっけ。ロベリアの左手をもう一度握ってわたしはルシサスとして口を開いた。 20160607 |