「え?」



わたしこの連載で何回「え?」って言ったんだろう。あと「えっ」とか「いやいや…」とか。まあそんなことどうでもいいんですけど、


銀座の寿司屋に着いたらそこに骸さんと元ボスがいました。




「え?あれ?あれ?ボス死んだんじゃなかったの?!」

「死んでて欲しかった?」

「いやまあどっちでもいいですけど」




元ボスがいつも通り涙目になったところで話が始まる。




「まあとりあえずお前誕生日じゃん」

「クフフ、なぜあなたが私の誕生日を知っているのかはここでは尋ねないでおきましょうか」

「読者への配慮だよ、ビシッ」

「指さすな」




マドンナ誕の6月9日は骸誕でもあるのでたまに骸さんが出現します。お情け出演です。いやでも今回はかなり意味のある登場です。




「うちのおチビがアイドルになったと思ったら今度は逃げ惑ってると聞きましてね」

「ええまあ、こんなところで優雅に寿司食べてる場合じゃないくらい危険な状態ですね」

「今回はお前が責任持って尻拭いしてくれんだろ?」

「もちろん。そのためにわざわざ日本に帰ってきましたから」




隅っこで元ボスが至福の表情になって大トロを食べている。




「ただ、あなたたちには色々と手伝ってもらいますよ」

「ほへも?(俺も?)」

「ええ、そうでなければあなたを助けた意味がありませんからね」

「………」

「ほらボス泣いちゃったじゃないですか」

「知りませんよ…」

「なーこの赤いのもう一個ちょうだい」

「そこ!むやみに注文増やさないでください!」




一瞬にして無法地帯となったテーブルの上でわたしももくもくと寿司を食べる。おいしいけど正直半分くらい味わかってない。それはわたしの舌が貧しいからとかじゃなくてやっぱり隊長が心配だからだ。


暗い顔をするわたしに気付いたのか気づいていないのか、ひとつ呆れたような深呼吸をして骸さんはとん、と机を軽く叩いた。




「作戦会議です。おチビを助けますよ」




20160606