約1年ぶりにイタリアに帰ってきました。あれなんかカーペットの色変わってる。隊服のデザインも変わってる。霧の隊長も変わってる。

ってそりゃ変わってるわな。元隊長はアイドルになったんだもんな!




「久しぶりだね」

「わぁマーモンちゃんお久しぶりです!」




いろいろあってフラン隊長がアイドルになっちゃったので、アルコバレーノの研究所でボックスの研究をしていたマーモンちゃんが再招集されたらしい。わたしは何度かボンゴレの会合でマーモンちゃんに会っている。もう2年か3年会っていなかったけれど。




「あの子どもはどこいったんだい。急に召集されて来たはいいけど、理由を教えてもらってないんだ」

「フラン隊長は殺したターゲットの代わりにアイドルになりました」

「は?」




心底意味がわからない、という顔をしてマーモンちゃんは首をかしげた。一言一句間違ったことは言っていない。フラン隊長は殺したターゲットの代わりにアイドルになったのだ。


フラン隊長はジャッポーネで楽しくやってるらしいんで許してあげてください、とまったくの嘘でもない微妙な言い訳をしながらマーモンちゃんと喋っていると、向こうから見慣れた金髪が見えた。

しばらくフラン隊長としかいなかったせいでベル(先輩)のことすっかり忘れてたけどメインキャラはフラン隊長じゃなくてベル(先輩)だった!あぶない忘れるところだった。せっかくだから話しかけておこう




「うおおおおおおベル先輩久しぶりですうううううう」

「おう、お前フラン捨ててきたんだってな?ジャッポーネに。クソ傑作」




わたしの挙動不審な発言を完全に無視して楽しそうに笑ったベルは、お前がヴァリアーきてから初めて立派だと思ったわ、上司捨てて自分だけ帰ってくるとか最高に外道!とあんまり喜べない褒め言葉でわたしをひとしきり褒めた。




「いや、なんかあれは仕方なかったっていうか」

「実際どーなの?あのカエルけっこうノリノリだったわけ?」

「けっこうどころかめっちゃノリノリだったよ、アイドル活動」

「じゃー別にいいんじゃね?任務もちゃんとやってきたわけだし」




実際、指示書にはわたしがヒットマン役として仕事が与えられていたのだけれど、そのへんは適当に濁しておいた。部屋に帰って報告書を書いているときも、そのへんは濁した。

そして70ページにもわたる長々しい報告書を1ヶ月かけて書き上げ、肩と腰がばっきばきのなかやっとの思いで階段を上がり、ボスの扉をノックしようとした瞬間、その扉が急に開かれた。




「名前、ジャッポーネに戻れ、緊急だ」




ずっしりとした報告書が手元からばさりと落ちる。
やっぱり話はそう簡単に終わらないようだ。




20160604