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オーディションに受かっても次の日からライブハウスに出れるなんてわけもなく、レッスン場にこれでもかと大量に集められた合格者達とそれこそ殺し合いのような気迫でレギュラーを争う日々が何週間か続きました。

ちょっとムカついたやつとか足の引っ張り合いになりそうなやつとかは何人か殺しました!!!!!ごめん!!!!!!必要経費ならぬ必要犠牲だよね。許してちょ



ということで敵になりそうなやつを予め(かなりバイオレンスな意味で)やっつけておいたお陰で歴代最速のスピードで曜日固定レギュラーになりました!やったね!曜日固定レギュラーとか笑っていいともみたいだね!ちなみにいいともって言ってもヴァリアーは誰一人分かりません。クソ。フラン隊長なんてジャッポーネの連ドラとか見てたくせに知らないらしい




「う、うわあ…」

「わーカルミア超にあうカルミアのためにある衣装みたいだよ

「そ、そりゃどうも」

「お前は今ヴァリアーの名前じゃなくてカルミアなんですよ、いい加減その口調直してくださいー」

「フラン隊長もその温度がガックンガックン変わる喋り方やめてくださいよ」

「フランってだあれ?

「ロ、ろろろロベリアちゃん、?」

「チッ、分かればいいんですよー」

「隊長のせいで頭グラグラしてきました」



ちなみに今日は金曜日。ロベリアとカルミア、つまりフランとわたしがレギュラーでライブハウスに出演する日だ。今日は初お披露目の日なので楽屋の一番端っこで衣装に着替え、体育座りをしながら小声でキャッチフレーズの確認をしている。

フラン隊長は本番に強いし(ある意味)プロだからもう既にロベリアになりきって…というかロベリアになってわたしにうざ絡みしてくる。秋葉原に来てからというもの、フラン隊長の本気を無駄に毎日見せつけられている。イタリアにいる時より本気で仕事してるんじゃないかなこの人。



「いいですかー。名前はミーの『ロベリアちゃんにおまかせ』が終わったらその流れで『わたしにもちょうだい』って入るんですよー」

「なんでこう、言葉の端々にハートマークが浮かぶのが見えるんでしょうね、すごいですね隊長」

「隊長ってだあれ?]」

「ろ、ロベリアすごいね

「ううん、そんなことないよ、カルミアもがんばりましょーねっ




ついに語尾の「っ」とかも使いこなし始めた隊長の背中についていきなんとか初お披露目は成功した(と思いたい)。ちなみにフラン隊長(ロベリア)のキャッチフレーズは



“オムレツみたいにふわふわな恋心

“あなたの胃袋は?”

“ロベリアちゃんにおまかせ



であり、わたし(カルミア)のキャッチフレーズは



“わたしにもちょうだい

“二番目でいいの、あなたの背中を追いかけるのは?”

“カルミアちゃんしかいないっ



である。あーもーこれ脳内再生するだけで鳥肌がすごい。

ていうかフラン隊長におまかせしてるのは胃袋っていうより脳味噌(五感)だし、わたしのセリフにいたっては完全にフラン隊長の「お前は二番手でいいんだよクソが」っていうメッセージがビンビン伝わってきて口に出すたびに恥と恐怖で目の前がチカチカします。

とりあえず衣装のスカートが短すぎて最前列の客にパンツが見えてます。




20160601