ねえ、虚しいとは思わないかい。

そうやって毎朝起きて学校までてくてく歩いてさ、鞄には教科書詰めてさあ、お弁当なんか入れちゃって、毎日、学校に通うってことを。大量生産モノのちまっこい机に大人しく座ってさ、大人の話をいちいちノートに書いたり、たまには落書きしてみたりさ。でも結局テスト前には消したりとか、さ、そうやってありきたりに同じ生活をくるんくるんって繰り返すことに虚無感はないのかい。サイクルなんて聞こえはいいけど、裏を返せばただの統一された行動。ねえ、ベルはどう思う。こんなこと沢山考えてるくせに、実際なんにも実行しない、私について。



そんなに言うなら教えてやろっか。オレはとりあえずお前が居れば他のこととかどうでもいいんだよね。大人の話を書いたこともねーし落書きもしねーし、でもお前がやれって言うならやるし、結局は誰を信じるかって話なんじゃねえの?お前は常識と大衆を信じてるんだろ、だからくるんくるんって繰り返す。統一された行動って嫌そうに言うけどさ、ほんとは統一ってすっごく難しいんだぜ。お前らが学校を信じて先生を信じて、友達を信じてるから「日常」があんだろうよ。だからオレはお前がすげえ奴だと思う。



そう、すげえ奴、か。すごいって一体なんなんだろうね。ベルの言う、信じるっていうことがすごいことなんだろうか。私は世界で一番ベルを信じて生きてるよ。だから嫌なのかもしれないね、大衆を信じちゃうような自分の凡人さが。あのね、だからって無意味に暴れたいとかそういうことじゃないんだ。それはきっと愚かなことだから。でもどうしても、自分の信じてみる気持ちに胸を張れないんだ。



そこまで考えたら十分立派だって。いろいろ考えたってどーせ最期はオレの腕の中に帰結すんだろ、な。だからいいじゃん、オレに愛されてれば。オレを信じてればいーじゃん?それがどんな最低な結果を生もうとお前を奈落の底に突き落とそうと関係なくね?だってそんなの見なきゃいい。人生とか毎日とかってきっと、そんな信条の塊で出来てんだ。ほら、今幸せなら世界は平和だ。



ガチャ

「そういう人生相談は放課後にお願いしまーす、授業始まりますよー」
「やーだー!授業だるいー!」





20100909
庭咲日名子