angry シリウス



「お前は本当にスニベルスとお似合いだな、このブス」



気付いた時には私は彼の顔面を思いっきり殴っていた。
その後のことは頭が真っ白になっていたためよく覚えていないが、赤く腫れた拳がその時のことを痛々しく物語っているようだった。
どうやら私は「人を殴ると殴られた方だけでなく殴った方も痛い」という認識が怒りでどこかへ吹っ飛んでしまっていたらしい。

しかし未だに腹の奥底では沸々と怒りが沸き上がっており、レポートが全く手につかない状態だった。


そもそも元からシリウス・ブラックはよく友人のセブルスに呪いをかけてからかったりしていたし、才能や美貌を鼻にかけたような態度がいけ好かなかったのだ。
きっとあんな事を言われなくても私はいつか彼に今回のような拳を一発喰らわせていたことだろう。
だからこれで良かったのだ。





そう思った途端にぽつりと羊皮紙に涙が落ちてインクが滲んだ。
だって、まさか彼が好きだったなんて言えるわけがないじゃないか。






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