「なんで?」

「なんで?それは僕の台詞だよ」


なんで?どうして?なぜあなたは私に杖を向けているの?私には分からないわ。
彼とは沢山色んな話をした。彼の考え方が好きだった、そして

「あなたを愛しているのに」

私の言葉にピクリともせずに、軽蔑するような目で私を見つめ彼は「はっ、」と鼻で笑った。
「君の駄目な所はそこだよ。ねぇ、ナマエ。」
首にぐりぐりと杖を突き付け、冷たい口調で続ける。

「愛してる?好き?君は僕の何を知っている?君の知っている僕は僕自身の片鱗でしかない。」

あの笑顔も、怒りも、全てあなた自身では無いとは思い難かった。しかしあれこそが本当のあなた自身なのだと、そう思いたかったのは私のエゴなのかもしれない。
私は知らない内に自分の中の「トム・リドル」を勝手に形成し、押し付けていた。そう、きっとあなたにとって私なんかは周りにいる媚売りな人達と何ら変わらなかったと言うわけね。

最後にもう一度だけ、小さな声で「愛してる」と呟いた瞬間に目の前に緑の光が広がった。

あんなにいろんな話をしたのに、わたし、あなたのホクロを一つも知らない

title … にやり




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