「ちょっとナマエ、話があるんだけど」

パンジーは腕を組み、仁王立ちで威勢良く言った。

「…何?」
「あんた私とドラコのこと協力するって言ったわよね?」
「言った。」
「じゃあさっきのアレはなんだったのよ!?」

「さっきのアレ」と言われて、私は一瞬何のことを言っているのか理解に苦しんだ。しかし、マルフォイの話をしているならばきっとアレのことだろう。

「ダンスパーティーの話?」
「そうよ!ドラコがあなたのことを誘うなんて…」
「でも断ったじゃない。」
「そういうことじゃないわ!」

パンジーは怒りで顔が真っ赤に火照っていた。不細工な顔が、より一層不細工に見える。

「じゃあ何?もしかしてあなたは私がマルフォイを誘惑してるとでも思っているの?そうならあなたは馬と鹿だわ。」
「馬と鹿って何よ。」
「日本語で馬鹿って意味。」
「なっ…!」
「あいつが勝手に私へ好意を寄せているだけでしょ。私は何もしていないしあなたが私を怒るなんてとんでもなくお門違いよ。」

パンジーはウィーズリーの赤毛よりも、太陽よりも真っ赤な顔に変わった。いつものキンとした声が怒りで上ずり、より一層耳をつんざくような高さになっている。

「信じられない、私達絶交よ!ぜ・っ・こ・う!もうあんたの顔なんか見たくもないわ!」
「そう。私達の友情ってドラコ・マルフォイみたいなクズ男1人ごときで崩れてしまうような脆さだったのね。」
「ドラコはクズじゃないわ。」
「どこをどう取ったらクズじゃないなんて言えるのかしら。そもそもパンジー、あなたはあんな貧弱男のどこがいいって言うの。どこが魅力的?」

私は顔色一つ変えずにそう言い切った。パンジーの顔は相変わらず真っ赤ではあったが、先程よりはだいぶ落ち着きを取り戻しマルフォイの魅力を一生懸命考えている素振りを見せた。

「そうね…ドラコは純血だし…」
「あら、クラッブとゴイルも純血よ。」
「顔もかっこいいわ!」
「性格が顔に滲み出てる。」
「頭もいい。」
「彼の大嫌いな穢れた血のグレンジャーさんに負けてるけどね。」
「箒だって…待って。ナマエが何を言おうとしてるか私もう分かってるから何も言わなくていい。」

口を開きかけたのを制止し、パンジーは呆れ顔で私を見た。もうマルフォイの良いところを述べても無駄だと悟ったのだろう。

「分かった、分かったわよ。あなたがドラコを大嫌いだっていうことは。」
「違うよ、分かってないよ。」

パンジーは私を見て黙り込んだ。パンジーがこんな顔をするなんて、私は一体どんな顔でパンジーを見つめているのだろうか。

「パンジー、あなたは何も分かってないわ。」
「…ナマエ」
「マルフォイは嫌いじゃない。でもあなたの大好きなマルフォイは大嫌いよ。あなたが彼を好きでい続ける限り私は彼を恨むわ。」

パンジーは横っ面を張られたような顔をした。その顔を見て私は何とも形容し難い満足感と幸福感に全身が包み込まれ、足取りも軽くパンジーに背を向けて歩き出していた。

なんて可愛い愛しいすき
title … mutti



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