生徒会なら
満月が照らす月宮学園の校庭。そこに一人の少女が御統(ミスマル)を手に異形のモノと対峙していた。
「遠神(トオカミ)恵み給え、祓い給え清め給え!」
カッという光が発光し、菖蒲の手にする御統から神力が爆発した。
襲いかかってきた妖は光に呑み込まれ消滅する。
ふうと息をつき御統を手首に戻す。そのまま月宮学園の校門前に踵を返すと姉が刀を鞘に戻していた。
「お疲れ様ですお姉様」
声を掛けると蓮は笑顔で駆け寄ってくる。
そんな姉の行動に少し嬉しく思いながら自然と溜め息が漏れた。
「菖蒲どうかした?」
首を傾げる蓮に菖蒲は苦笑し頭を振る。
「最近、妖の出没が多くなってきているので……心配で…」
蓮と菖蒲は共に月宮学園の生徒会執行部に所属している。異能が使える彼等執行部は理事長から密かに学園周辺に現れる妖を退治する役目を負っていた。
だが最近とみに妖の出没数が増えだした。
蓮は長い溜め息を吐き空を見上げる。
淡く光る満月を見つめながらポツリと呟いた。
「大丈夫だよ」
「…え…?」
「大丈夫。私達生徒会に出来ないことはないよ」
ふっと笑う蓮に菖蒲は惹かれながらはいと、笑みを返した。
* * *
「おー、生徒会長君はやる気があるなぁ」
月宮学園屋上――。
安倍晴明は双眼鏡を片手に柵に寄りかかっている。
隣では茴香が缶コーヒーを飲みながら満月を見ていた。
「なあ茴香。彼女等、何とかなると思うか?」
「……さあな」
満月をその瞳に映し茴香は不敵に笑う。
「生徒会次第だ――」
ヒュッと飲み干した缶を軽く投げる。
それは弧を描いて落ちていった。
end
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