運命
『私が死んだら、お墓は封印して…誰も私の力を利用できないように…』
呪詛に苦しみながら最期にそう言ったアイツ。
『なんでかな、貴方とは初めてあった気がしないです』
真っ直ぐ見つめてくる瞳がアイツと似ていて…。
『私は貴方の身代わりにはなりません』
アイツの面影がある者に己を拒絶され…。
気が遠くなりそうな程生きた俺。それでも、この世から消えてはいけないのか…?
人間など惰弱で弱い。
直ぐに目の前からいなくなる。
俺はあと何回、人が死に逝くのを見ればいいのか。
己の半身である刀を握り締め。
己の存在意義である使命に生き。
己の咎を背負い世を生きる。
それが俺の在り方か――。
「それでも茴香には笑顔が似合うな」
「宮様、それでも私は貴女様から離れません」
俺の傍で支えてくれる者達の為に、俺は剣を振るう。
『茴香、人を…いえ、人や妖、神を信じてみませんか…?』
お前がそう言うのなら、信じてみてもいいだろう。
世界が終わるその日まで――。
完
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