星霜の調べ



 昔々、高天原に黄金色を纏った姫神が生まれました。
 彼女は其の身に強大な神通力を宿しており後に高天原を治める事となります。
 ですが彼女はその大きな神通力を抑えることができず、無理矢理神通力を抑える鎖を其の身に纏う事となりました。

 そしてどれほど幾年が過ぎたか、大きな出来事が高天原を襲いました。

 【大いなる厄災】
 それは天津神と邪神の争乱。
 姫神が夜色を纏った邪神の長に攫われ世界が闇に包まれた悲劇――。

 それでも多くの神が立ち上がり絶望的だった姫神救出を成功させ、世界に光が戻りました。

 でも、誰にも知られていない物語が一つ。
 姫神と邪神の長の悲しい物語。
 
 互いの陰の部分に触れ惹かれ合う二人。
 だが決して相容れる事の出来ない立場が二人を引き離し――。
 世界は争乱の渦に呑まれ邪神は敗北し、長は永い眠りにつくこととなりました。


 ――想うことさえ許されない姫神の恋。
 己を縛る鎖を知りながら彼女は何を思ったのだろうか。






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