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FF4:男主/カイナッツォ/(スカルミリョーネ)


 強烈な腐敗臭を感じて立ち止まる。
 アンデッドの匂いだが、スカルミリョーネなら事前に匂いを嗅ぎ取らせるようなことはしないはずだ。名乗る必要がある時は別として、気取られずに標的を殺したら黙って去るのが彼のやり方。
 つまり俺の背後にいる輩は、接近を察知させるためにわざと“アンデッドっぽい”匂いを発している。俺は振り向き様に敵の弱点属性で一番詠唱の短い魔法を唱えた。
「ブリザド」
「ぐはっ……き、貴様、そこはファイアだろ!」
「だってお前カイナッツォだしな」
「……」
 またバレたかと諦念の表情を浮かべたスカルミリョーネの体が崩れ、変身を解いてカイナッツォが姿を現した。
“スカルミリョーネに化けておけば振り返ってファイアを使うはず。それなら水を司る俺には屁でもないぜ”
 そんな杜撰な計画で俺をハメようとは無謀だ。戦いでは絶対的な優位に立っている時でも常に最悪の事態を想定して行動しなければ。
 続けざまに変身がバレているので、カイナッツォは不機嫌だ。
「なんで騙されねぇんだよ、くそっ」
 バルバリシアにゴルベーザときて今日はスカルミリョーネ。俺じゃなくても分かると思うけど。
 珍しく真面目に修行をしてるんだな。しかしやはり客観性が足りないのがこいつの課題だ。
「スカルミリョーネに対する評価が低すぎる。あいつはそんな風に油断して敵に近づいたりしない」
「あぁ? 知るかよ。あんな雑魚に化けるんだ、弱めにしといてちょうどいいくらいだぜ」
「私怨で変身魔法の精度を下げてどうする」
 いくら仲が悪いからって過小評価は良くないな。今だってそのせいで俺に見破られたんだから。
「大体お前こそ俺の評価が低すぎるだろ。手抜きしてるから俺が化けてるんだろう、って決めつけんじゃねぇよ」
「そう思われるのが嫌なら手を抜くなよ……」
 実際、他のやつらに無い怠惰の気配を感じたらそれだけで正体が知れてしまう。姿形は誰に化けてもカイナッツォはやっぱりカイナッツォだよな。
 俺からしたら、バロンの人々に王の正体がバレないことこそ不思議だ。結局、生前から王のことなんか見てなかったんだろう? だから違いに気づかない。
 余所見してる間に仕えてる人が死んでたなんて間抜けな様を晒したくないし、これからもしっかりカイナッツォのことを見ておくぞ。


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