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FF4:男主/カイナッツォ/(バルバリシア)


 職場に贔屓や差別があるのは好ましくないと思いつつ、俺はどうも四天王の紅一点であるバルバリシアに弱い。まあ他のやつらが揃いも揃ってアレなせいもあるけれど。
 なんといっても尋常ならざる美人だし、彼女に頼まれるとつい何でも聞いてやりたくなる。俺だけじゃなく、男なら誰だってそうだろう。
 そう、目の前でバロン軍に在籍する兵士の名簿を差し出しながら「勧誘できそうな女性兵士のリストアップと詳細な身上調査をしておけ」なんてお願いされたら。
「本物のバルバリシアだったら、即答で頷いてたんだけどなぁ」
「……なんで分かった」
 俺の変身は完璧だっただろ? と急にガラが悪くなったバルバリシア似の人物、中身はカイナッツォだ。なんで分かったと言われてもな。
「曲線の造形が甘いんだよ」
「は?」
「確かにバルバリシアは筋肉質だが、それじゃ男の体格に近い。女体はもっと柔らかくて丸みがあって美しいものだ」
 大方、バロンから引き抜いて仲間にすべき兵士の選別作業が面倒で、バルバリシアに化ければ俺に仕事を押しつけられると思ったんだろう。
「まったく浅はかなカメだぜ」
「うるせえよ。そういやお前、俺の術に騙されねぇよなァ。頭は悪い方なのになんでだ?」
 おい、「頭は悪い方」とは何だ。直球で「バカ」と言われた方がマシだぞ。カイナッツォのくせに半端な気遣いをされたら悪意のない本音っぽくてちょっと傷つく。
「でも今回は特に出来が悪かったよ。体格も所作もまるっきり男だった。バルバリシアは乱暴だし脳筋だし物事を暴力で解決しがちな性格だけど、所作だけは貴婦人のように美しく繊細だからな」
「……命知らずなこと言うよなァ、お前」
 バルバリシアは自分にも周囲にも“美”を求める。がさつで乱暴な内面のカイナッツォにあの気高さと包容力を真似るのは難しいだろう。
「女に変身するなら母性ってやつを知るところから始めないと駄目だな」
「知りたかねえよ、んなもん」
「対象をよく観察して理解を深めるのは変身魔法の基本だろ」
 もしかして互いを理解する過程で四天王にも少しは協調性が生まれたり……しないか。
 反発し合って喧嘩して結局こいつが「面倒くせえ、もうやめだ!」って言う方が先だろうな。


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