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Other:半熟英雄/女主/ウイナッツォ


 冬を司る四季王でありながらウイナッツォ様は冬が苦手だ。というより、寒いのが嫌いだ。
 きっと許されるならば戦いなんて放っておいて、こたつに引きこもってずっとぬくぬくしていたいと思っているのであろう。
 しかし彼は冬が嫌いだからと言って夏が好きなわけでも決してない。モフモフとは言い難いゴワゴワの毛並みに包まれたウイナッツォ様は、暑いのも嫌いだった。
 冬はこたつで丸くなり、夏はこたつで伸びきっている。今さらだけれどなぜこんなのが四季王なのだろう。上司が変だと部下まで変だな。
 その理屈でいくとウイナッツォ様の部下である私も変だということになるけれど、強いて否定はしない。
 ウイナッツォ様は舌を出しっぱなしにしてハアハア喘いでいる。見た感じは変質者だ。通報されてはお気の毒なので無理矢理に口を閉じて差し上げると、思いきり舌を噛んだご様子。
「いへえー! な、なんてことするんだよ!」
「息が荒くてうるさいし、見てると暑苦しいんですよね」
「俺みたいな愛くるしい動物が暑さに参ってるってのにその態度」
「は?」
「いや……なんでも、ないです……」
 ウイナッツォ様は夏が苦手で、暑さを嫌う。犬なのだからそれは分かるけれども意地を張ってこたつにしがみつく姿を見れば同情心など失せるというもの。
「とりあえず、こたつを出ればいいのでは」
「嫌だ! こたつは俺のアイデンティティーだ!」
 確かにウイナッツォ様がこたつを出てしまうと単なる青い犬にしか見えない。四季王だからこそ辛うじて保たれていた存在価値が一欠片もなくなりますものね。
「……おい、なんかひでえこと考えてない?」
「気のせいですよ」
 べつに事実なので酷くはないだろうと笑みを見せればウイナッツォ様はもごもごと口籠る。
 こたつあってのウイナッツォ様には違いない。しかし今年の夏はかなりの酷暑になると聞いている。ずっと布団を被っているのは辛いはずだ。なんとか対処しなければ。
 我らがボス城にもそろそろ冷房を導入すべき時かもしれないな。もちろんウイナッツォ様のお給料で。


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