甘いキスで、永遠を誓おう。




生まれ育った惑星にベジータ達、地上げ屋が襲来し、ベジータに連れ去られてしまった名前。元は、王国の姫であった。無理矢理に名前を連れ出した事も、名前が暮らしていた惑星を攻めて売り飛ばした事も、ベジータは悪びれている様子も無く。最初こそ怯えきっていた名前だったが、彼の天才的な強さや誇りの高さ、垣間見える品の良さに次第に心惹かれていた。

「もう怖くはないのか」

 ベジータは名前を強引に抱き寄せながら、耳元でそう囁いた。全く怖くない、と言うと嘘になってしまうのだが。名前は僅かに震える唇を噛んで、小さく頷いた。

「お前は姫になるんだ」
「……それって」
「拒否権は無い」

 ベジータの挑発的な眼差しが、名前の胸を締め付ける。これは遠回しなプロポーズではないかと感じて、天邪鬼な彼を微笑ましいとさえ思ってしまった。しかしそんな彼を笑ってしまっては、身の危険を感じる。名前は平常心を保とうと、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。

「ベジータ様、それは……」
「……その堅苦しい口調は止めろ」

 名前が黙り込んでしまうと、ベジータはその唇を指先でなぞった。そしてそこを唇で塞ぐと、一瞬だけ強く押し付けて、また離れた。

「お前は俺だけの女になる」
「……ベジータ」
「いいな?……名前」

 名前が頷くと、今度は緩い力で優しく抱き寄せた。それから名前の耳元を口元で塞ぐと、そこを淡く噛んだ。身を委ねているうちに、彼の深い愛と独占欲に翻弄されてしまいそうで。名前は、悶えそうな想いを強く感じていた。

「んっ……!」
「……耳が相当、良いようだな?」
「う、くっ……」

 しばらく耳元ばかりを執拗に愛され、名前は堪えきれずベジータの唇へキスを返した。負けず嫌いな彼の舌先が、また名前の耳朶にまとわりつく。それから彼の唇は名前の首筋や鎖骨へ沈み、その度に名前は切ない溜息を零した。二人きりの甘い時間はあっという間に過ぎて、時計の針が零時を指した。それでもベジータは、キスを止めない。そこにも名前の拒否権は無いのだ。終わりを告げられる時まで、身も心も彼に預けるしか、なかった。唇がふやけて溶けてしまいそうな程、今度は唇ばかりを入念に愛されて。名前は思わずベジータの首に両手を回して、逆立つ黒髪を撫でてみせた。

「何の真似だ?」
「愛情表現……」
「フン、そうか」

 嘲笑するベジータの、頬や耳元にもそっとキスをして。名前もまた、懸命に彼を愛した。恋人同士や夫婦は似て来ると聞いた事があったが、それもあながち間違ってないと、名前は心の中で感じ始めていた。彼の負けず嫌いな性格が、名前にも感染したかのようで。彼に負けじと、熱いキスを繰り返して。彼もまた、名前の愛情を感じ取っていた。

「ねえ、ベジータ……」
「……何だ」
「キスばっかりで、飽きない?」
「下品な想像をさせるな」

 ベジータは頬を淡く赤らめ「飽きはしない」と小さな声で答えて、名前の髪や背中を撫でた。それから名前の左手の薬指に、柔らかなキスを落とした。

「お前はどんな石を好む?」
「石……?」
「……ゆ、指輪の話だ」

 照れくさそうにそっぽを向くベジータの頬に、名前はまた優しく口付けた。甘く、とろけるようなキスを。するとベジータも、また負けじと名前の唇に甘いキスを返した。

 甘いキスで、永遠を誓おう。


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