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バレンタイン 


レファル「やあ諸君、良きバレンタインを過ごしているかね?」

フラン「レファルお兄ちゃんこんにちはっ。はっぴー処刑日っ」

ヘリオス「待て。なんだその挨拶」

フ「えへへ。バレンタインさんが処刑された日ですからー」

レ「補足させてもらうよ。ローマ時代、結婚を禁じられていた恋人達をこっそり結婚させていた基督(キリスト)教の司祭ヴァレンティヌスが処刑された日が起源の『恋人達の記念日』がバレンタインというわけだ」

フ「本日はおひがらもよくとっても処刑びよりですねー」

ヘ「いいのか? その使い方でいいのか?」

レ「細かいことを気にするのは止めたまえ! と、いうわけでチョコレートだよ」

フ「うはぁ! 何が『というわけ』なのかさっぱりですけどありがとー! ね、レファルお兄ちゃん、開けてみてもいい?」

レ「勿論だとも。
ちなみにれっきとした義理であり、知り合いに配って回っているだけで他意は皆無であるからしてヘリオは私を睨み付けながらフランを背中で庇わないように」

ヘ「お前の性癖がアブノーマルじゃなくて安心したよ。
つか、こういうの普通は女がやるもんじゃないのか?」

レ「墺太利(エースタライヒ)では男性が女性に贈り物をする日だよ?」

ヘ「ここ日本だろ。現パロだから」

レ「ならばつまり逆チョコということだよ!」

フ「チョコっていうか、あたしには目玉に見えるんだけど……。しかも血まみれの」

レ「ふふふ。実は、うちにはハロウィンの折にハ〇ズで買った『目玉チョコレート作成キット』があってね? ちなみにその赤いのはラズベリーソースだよ」

ヘ「お前、単にテロ活動する口実が欲しいだけだろ」

レ「非暴力主義を貫くこの私に向かってテロ活動とはよく言ったものだね!?
というか、私は厳格な基督教徒ではないから、万聖節前日祭(ハロウィン)だろうと聖誕祭(クリスマス)だろうとバレンタインデーだろうと復活祭(イースター)だろうと感謝祭(サンクスギビングデー)だろうと全て手作り菓子を振る舞う口実に過ぎないのだよ!!」

フ「うはぁ言いきったー」

ヘ「後半二つはちょいとマイナーだな」

レ「さて。脱線しまくりの話を戻して、と……。早速食べたまえ。さあ」

フ「……あぁ、はぁい。チョコにつみはないし、帰ってから食べるね」

ヘ「……正気か?
レファル、お前もな、無駄な器用さ発揮して見た目を整える前に味を調整しろよ。ちゃんと食べる側のこと考えて作ってんのか?」

レ「何を言うかね? 私はいつだって食べる側のことを考えているとも! いつだって食べる人の度肝を抜くことを考えているとも!!」

ヘ「それ以外にも考えるところあるだろ!!」

フ「ドキモの方向がちょっとどころじゃなくズレてるよね」


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