小説 | ナノ

なぜなに教室「人魚」 


フラン「この前のラツィお兄ちゃんのお話に人魚が出てきたけど、人魚ってどんな人? なの?」

ラツィ「其れを説明する前に、フランさんは『人魚』って聞くとどんなイメージをしますか?」

フ「えっとね、上が女の人で、下がお魚!」

ラ「ええ、御伽噺に登場する人魚は女性が多いですね。男性も居るんですがねぇ」

フ「絵面じゃない?」

ラ「身も蓋も無いですねー。
 其れはさておき、先ずは人魚の定義についてです。人魚とは何か? 其れはですね、この時代では『水棲生物の要素を含む亜人全般』を指します」

フ「広い!?」

ラ「実は一口に『人魚』と言っても、とっても大きな括りなのです。彼等は大きく二つに大別されます。
 一つ目はフランさんのおっしゃった様に、魚系ですね。下半身が鰭で、鱗を持ちます。見分けるポイントは泳ぎ方です。鰭を左右に振って泳ぎます。因みに鰓呼吸タイプと肺呼吸タイプに分かれます。尚、授乳はしません。
 二つ目は動物系。此方は鰭を上下に振って泳ぎます。一見すると魚の鰭に見えますが、鱗は有りません。手足が水中の生活に適応したと考えられています。そして授乳をします」

フ「ええっと、たまごを生むのがお魚でしょ、赤ちゃんを生むのがどうぶつだよね」

ラ「此処がややこしい所なんですけどねぇ、体内で産卵して小魚まで育ててから産むタイプや、産卵する動物も居ますので……」

フ「そ、そうなんだ」

ラ「但し、人間との間に混血児が誕生し易いのはやはり動物タイプの方ですねぇ」

フ「しゅぞくが近いほうが混血になりやすいんだよね!」

ラ「くす。其の通りです。御褒美に飴を上げましょう」

フ「わぁい! ありがとうお兄ちゃ!!」

ラ「然う然う、食べ物と言えばですね。食べ物の違いに因って、同じ種類の人魚でも歯を始めとする顔つきや体つきが変わって来るんです。見比べてみても面白いと思いますよ」

フ「こんなにしゅるいがいるのに、あたし人魚に会ったことないかも。なんでだろう?」

ラ「原因としては水中で暮らす為に出会う機会が無いと云う事と、人間社会で生活する際は鰭を手足に変える者が多いので人魚と気付けないと云う事ですね」

フ「へぇー。いつか会ってみたいな」



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