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主従の日 


フラン「ヘリオスさんヘリオスさん! 今日は主従の日ですよ、しゅ・じゅ・う!! つまりあたしとわん太とヘリオスさんの日ですよ、ヘリオスさん!!」

ヘリオス「ほぉ、初耳だな。何をする日なんだ?」

フ「……さ、さぁ?」

ヘ「おい」

フ「えーとえーと、主であるあなたと、従であるあたしたちが、ひたすら仲よくすればいいんじゃないでしょうか! 仲よくしましょう!!」

ヘ「仲良くって言われてもな……。とりあえずわん太を撫でればいいのか?(なでなで)」

ラザ「くうーん(尻尾を振る)」

フ「うはぁ! わん太ずるい!!」

ラ「……。(睨まれても困る)」

フ「むー、ヘリオスさんはいつもわん太にはやさしいですよね!! じぇらしー!!」

ヘ「だって犬可愛いだろ(もふもふ)」

フ「あたしもかわいいですよ!?」

ヘ「しっかし、まあ、お前らのことは単に家族としか思っていないから改めて『主従』と言われても違和感があるな」

フ「話そらしにきましたね!? いいですよ、のりますよ!?」

ヘ「だが、家族同然とは言っても俺は雇用主だ。お前らにはちゃんと仕事を与えるし、教育もするし、賃金も払う。そこは変えぬから安心しろよ」

フ「えへ。ありがとうございます」

ヘ「……正直に言うが、俺は人を雇うことは慣れていない。この家は昔から――少なくとも俺が物心ついた頃には、使用人なんていなかったんだ。今まではずっと家族だけでなんとかやってきた。
 だから、俺達には至らぬことも多いかもしれぬ。それでも容赦して欲しい」

フ「じゃあいっしょに学んでいきましょうよヘリオスさん!」

ラ「(そうだ、それがいい)」

フ「あたしたちには覚えなければいけないことがいっぱいあります。だから教えてください!」

ヘ「ではお前達も、俺に主としてのあり方を教えてくれ」

フ「もちろんです。これからもよろしくおねがいしますね、ヘリオスさん!」


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