「ごちそうさまでした。美味しかったです」
きっちり箸を揃えて置き、にっこり笑って、リコは言った。
それを見て、じいちゃんとばあちゃんもにこにこと笑っている。
まさか、こんな日が来ようとは。
カゲトラさんが人間ドックだか何だかで、数日家に居ないらしい。
その間、俺の家に泊まれるように、お母さんが取り計らってくれたそうだ。
じいちゃんとばあちゃんもすぐに許可してくれて、俺以上にリコを可愛がって、楽しそうにしている。
もしリコと結婚したら、きっとこんな感じなのだろうなあ、と考えていたら、だんだん顔が緩んできた。
リコにこんなこと言ったらきっと、「気が早い」って怒られるだろうなあ。
「優しいわね、鉄平のおじいちゃんとおばあちゃん」
俺が風呂から上がって自室に行くと、パジャマ姿のリコが居た。
リコのことをたいそう気に入ったじいちゃんとばあちゃん。晩飯のときにあれだけ喋ったのに、まだ遊び足りなかったらしく、リコをさっさと風呂に入れてしまった。
リコが上がってきて俺が風呂に入っている間中、三人で遊んでいたようだ。
「疲れてないか?」
「全然!楽しかった」
満面の笑顔で頭を振り、リコは俺を真っ直ぐ見る。
「鉄平のおじいちゃんとおばあちゃんに会って、沢山話して、私、改めて鉄平を好きになった理由がわかった気がする」
思いがけない言葉に反応を返せずにいると、リコは恥ずかしそうに笑った。
「ますます鉄平が好きになっちゃった」
頭の中で、何かが弾けた。
気づいたら、敷かれた布団にリコを押し倒していた。
「鉄、平?」
驚いて俺を見上げるリコを見て、ああ、弾けたのは理性だったのだと理解する。
「……じいちゃんたち、寝るの早いんだ」
「え?」
これからのことを察したらしいリコは、ぱっと顔を染める。抑えつけた細い肩が強張った。
「ちょ、駄目よ!」
「リコが可愛いのが悪い」
「はあ!?」
「俺も余裕無いんだ」
鼓動が速まる。
呼吸が乱れる。
なおも抵抗しようと開かれた唇を、自分のそれで荒々しく塞いだ。
このまま、
(いただきます)