『From:黄瀬
☆HappyBirthday☆
また1on1しよ!
負けないっス(`σωσ)』
『From:緑間
今日のお前のラッキーアイテムは「虎のぬいぐるみ」なのだよ。
おめでとう。』
『From:紫原
誕生日おめでと〜
今度秋田に遊びに来てね
一緒に美味しいものいっぱい食べよ〜(´∀`)』
『From:赤司
誕生日おめでとう。
お前はますます強くなっているのだろうな。
試合するのを楽しみにしている。』
『From:テツ
誕生日おめでとうございます。
また、一緒にバスケが出来る日を楽しみにしています。』
『From:さつき
誕生日おめでとう!
楽しくて幸せな一年になりますように!
そうそう、十時頃に迎えに行くから、ちゃんと起きて準備しててね!』
どいつもこいつも暇人だ。
就寝前に電源を切り忘れた携帯電話の着信で目を覚ました青峰は、届いた大量のメールを見るなり、こう呟いた。
夏休み最終日の今日、宿題が残っている者への救済措置として、バスケ部は休みである。もっとも、今年は九月一日も二日も休みなのだが。ちなみに青峰は勿論――この表現が適切なのかは疑問だが――宿題のテキストを開いてすらいない。
もっと寝ているつもりだったのに、と悪態を吐きつつ、しっかり着替えはしている。桃井のメールの最後の文章に従ったからだ。
「……遅え」
吐き捨てた瞬間、ノックも無しに部屋のドアが開く。
「大ちゃん、おはよう!」
私服姿の桃井が、満面の笑顔で飛び込んで来た。
「遅えよ、さつき!」
「えー、五分しかオーバーしてないじゃん」
幼なじみの文句に返事をし、桃井は慌てて青峰の手を掴んだ。
「そんなことより、早く行かなくちゃ!みんな待ってるよ!」
なし崩し的に外に出て、桃井に手を引かれるままに辿り着いたのは近所の公園だった。
そこには、懐かしいシルエットが五つ並んでいた。
「……お前ら」
「みんな来てくれたの!赤司君もムッ君もね、明日休みだから、って言って!大ちゃんのためなら、って!」
興奮気味に早口に喋った桃井は、五人に並ぶ。
呆気にとられる青峰を前に、真ん中の男が赤い瞳を煌めかせた。
「いい天気だな、今日は」
その一言を合図にしたかのように、六人が青峰を見て口を開いた。
「大輝」
「青峰っち」
「青峰」
「峰ちん」
「青峰君」
「大ちゃん」
六つの声が作ったハーモニーは、晴れ渡った空に響いた。
「誕生日おめでとう」
青空の下
(ああ、確かに今日は)
(最高に良い日だ)
2012.0831 HappyBirthday