◎欲しい 足立視点


思いっきり濡らしてやって、突き上げて。
互いに絶頂を迎え、俺は彼女の中から自身を引き抜き、腹の上に吐精した。

ヤり始めたきっかけとか覚えていない。気付いたら抱き合って、快感を貪り合っていた。

「キミさぁ…
嫌じゃないの?こんな男と、なんてさ」

前々から思っていたことを聞くと、彼女は少しだけこちらを向いて、ぼそりと言った。

『……嫌だったらしてないと思います。』

「…キミって良いよね。
金を払わなくてもヤってくれるから」

『………』

彼女なりの想いの伝え方だったんだろう。
気付かないフリをしてそう返せば、彼女は悲しげな顔をして、制服のボタンを止めあげた。

中々帰ろうとしない。帰りたくないのだろう。でもこれ以上居られたら、ダメな気がする。

「……ほら、早く帰りなよ。着替え終わったんでしょ?」

たまらずそう言うと、彼女はとぼとぼと部屋から出ていった。

「はぁー…」

ゆらゆらと煙を出すそれをぐりぐりと灰皿に押し当てて火をもみ消す。
俺は頭を抱えて、先程まで彼女と沈んでいた布団を見やる。

「名前ちゃん……」

知らぬ間に抱いた感情。
出来ることなら、ずっと傍に置いておきたい…いや、居てほしい。愛し愛され、愛のある行為をしたい。
でも始まりが間違いだった。始まり方さえ間違っていなければ、今頃笑い合いながら話し、抱き合うことが出来ていただろう。

「くそ…」

俺には関係をやり直す勇気なんかない。あるのはひねくれた考えだけ。

素直に愛したいのに愛せない。

俺はそんな自分に盛大に舌打ちをついた。


君に僕の愛を

あげたい
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