※ゼロレクイエム前日です。

「ルルーシュ、」
ルルーシュが僕の声に反応してチェスの手を止めた。
僕は壁のカレンダーに目をやり、ふ、と声に出す。
「あした、だ」
ルルーシュは、チェス盤に転がる白のキングを長い指で遊ばせながら、掠れたような声を出した。
「後悔でもしてるのか」
『ゼロレクイエム』
君の最期の日。僕が最後の日。君と僕の、さいごの日。
「俺は、後悔なんてしない。これが俺の明日だからな」
ルルーシュ、僕は、
「でも…お前は…ッ…!!」
言葉が失くなり、部屋は静寂を取り戻す
僕は、ルルーシュの唇を塞いだ。
甘くないキス。
なのにルルーシュは僕の唇を拒まない。
そっと瞼を持ち上げる。目の前に写るのは、ぎゅうっと固く目をつむって僕の唇を受け入れるルルーシュだった。
(ああ、どうして)
いっそ噛みちぎってくれればいいのに。
(君は、いつもそうだ)
心に消えない傷痕ばかりを残す。癒えることも、赦されることもない深い爪跡ばかり残して。それなのに血の一滴すら流そうとしないんだ。狡いよ、ルルーシュ。どんなに舌を絡ませたって。どちらとも分からない唾液を飲み込んだって。君との明日は手に入らないんだ。瞼の奥が熱くなって、さみしい。
さみしいんだ。
ルルーシュとのくちづけは、いつもさみしい。僕の独りよがりのようで。優しくて、生温かくて、そしてさみしい。
(愛してるなんて言えない僕も)
(なんて狡い人間だろう)




130107




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