「スザク」
ああ、心地いい。
「スザク……」
ルルーシュが必死に僕を探している。僕は心の中でほくそ笑み、その声を無視した。
するとルルーシュは暗い顔つきになって視線を落とし、寂しそうな、泣きそうな、表情をする。
可愛い、と、素直に思う。
ああ、心地いい。

僕がルルーシュを無視するようになって、もう二週間がたつ。最初の頃はルルーシュがかなり苛立ちを示し、僕の腕を掴んで無理矢理話をしようとしたこともあった。しかし、僕はその手をいとも簡単に振り切り、彼をキツく睨んでやったのだ。
案の定、ルルーシュはそれから、僕に無理矢理迫るようなことはしなくなった。
ただこうして、一日の間で何回か僕の名前を呼び、僕を求める。まぁもっとも、僕がその声に応えたことはないが。
ただ、僕を求めるルルーシュはすごく可愛い。あのルルーシュは、確実に僕だけが知るルルーシュの姿。
そのことに僕は果てしない優越を感じ、いつの間にかやめられない麻薬のような存在にまで膨らんでいるのだ。
ルルーシュが好きだ。
だが、この気持ちを伝えることは到底ないだろう。
まずは、ルルーシュ自身がもっと僕を求めて求めて、恋い焦がれてくれなきゃ。
「フェアじゃないからね……」
ぽつり、思わず口から漏れた本音。
僕だけが君を求めるだなんて、公平じゃない。
「スザク……」
教室にはいると、ルルーシュがいる。憂いを帯びた、少し疲れたような表情に喉が鳴った気がした。
でも、ごめんね。
僕は彼の横を通り過ぎて先を行く。
好きだよ、ルルーシュ。
だからこそ、僕だけが恋い焦がれるだなんて赦せない。


130618


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