お兄様。
貴方の響きを、そのお姿を忘れない。
私の足が動いていれば。あの日、去っていく貴方の背中に追いつけていたのでしょうか。貴方の声が。仕草が。その全てが鮮明だったはずなのに。
もう、貴方はいない。
私の中の、貴方という光が失われていく。
(ナナリー)
それでも彼等が互いの役目果たしたことが別れなら。それでいいのでしょうか。
あの日も私は泣いてばかり。いつだって貴方は守るように抱きしめてくれた。
(お兄様がいれば、良かったのです…それだけで、そこにいるだけで……)
私は泣かない。泣いたりしない。君の背中を追いかけたりしない。見つめたりしない。悲しくはない。君の香り、忘れはしない。
愛は泣かない。愛は死なない。君が与えてくれた全てを、私は信じたい。激しく生きたい。強く、強くありたい。
貴方が生きたという証を、忘れはしない。強くなりたい。優しい貴方のように。流れる血潮を思い出して、何度でも祈ろう。穢れのない、清浄なにおいが肺腑の底までみたしていく。
お兄様、

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