執事 | ナノ
▽執事とお嬢様
お帰りなさいませ
誰よりも貴女を見てきた
その信頼を肝に銘じる
手袋越しに触れた指先
どうか何も知らないままで
汚れなき愛とうそぶく
笑顔も涙も、私だけのものだった
自慢のお嬢様
(何処に出しても恥ずかしくない、)
(でも何処にも出したくないのです)
アールグレイに揺らぐ横顔
天涯だけが知っていた
アフタヌーンの秘密
どうか此処で、二人永遠の日常を
翻す燕尾は枷であり誇りであり
最後の一瞬まで、貴女に仕えさせて下さい
命など惜しくない
生涯貴女だけを
私の、大切なお嬢様
スワロウテイルは涙を隠して
純白の終焉
最後の行ってらっしゃいませ
二度と帰らぬ主人
このテイルに誓って
これからも貴女を