寒くて、仕方がなかった。
どれだけ暖をとり、どれだけ熱を求めても。なにも変わることなく満たされない。
思い浮かぶものは、焼け付くように熱いのに。伸ばす手は宙を掻き。
雪だけは辺りを舞って、ただ冷たく静寂に包まれる。





「政宗殿……?」


幸村の声が困惑していた。

当たりまえだろう。
こんな戦もない、何もかもが静まりかえる真冬に呼び出されて。戦バカの幸村には、意味がわからるはずもない。
自分自信にだって、よくわかっていないのだから。

自嘲ぎみに伊達が顔をあげれば、やはり幸村はどうしたらいいかわからないというように戸惑った表情をしていて。

吐き出された息が、凍る。




―─ただ、今は熱が欲しい。この凍てつくような寒さを紛らわす熱、が。



「な、政宗殿!?何を、」


引き寄せて、無理に幸村の体をこの腕に閉じ込めて。その温もりに、沈む。
首筋に顔を埋め、ぎしりと骨が軋む程抱きしめる手に力を込めた。





「っ! お離しくだされ!」

「No」

「いきなり呼び出した上、いったい何を、」

「………ほんと、何してんだろうな」

「…………政宗殿……? 如何、いたしました?」

「別に。何でもねえよ」

「嘘でござる」

「Ha?別に、何もねえって言ってるだろ!!」

「……震えてるでござるよ、」

「大したことじゃねえ」



奥州の冬は、寒すぎる。
それだけのこと。


「なぁ幸村」



肌が触れ合ったとき、ここまで体温が違うのかと初めて気づいた。



「アンタは、温けえな」




寒くて、仕方がなかった。満たされぬ温もりがもどかしくて。

だけど今は、手を伸ばせばアンタに届く。



白しかなくても、

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