造花 枯れない花は美しい。 あの人はそう言ってくれた。 私のような花に、厳しさを湛える目元を細めて褒めてくれた。 時間という概念から切り離された存在。 老いて朽ち果てる世界で生まれた最高傑作。 永遠の美しさを閉じ込めた造花。 あの人が褒めてくれるたび、私の胸は悲鳴をあげる。 この感情に名前があるのだろうか。 この悲鳴はあの人には届かないのだろうか。 枯れない花は美しい。 彼はそう言ってくれた。 枯れた生花から生まれ変わった永遠の美しさを閉じ込めた造花。 彼が褒めてくれるたびこの胸が悲鳴をあげるのは、きっと私が彼の愛した生花ではないからだ、と。 朽ち逝く最後の1輪を見て思う。 |