窒息するふたつの呼吸



ふ、と息を吐くと、びくりと飛段の目に恐怖が浮かんだ。 そんな姿にぞくぞくと背筋に何かが走る。 もっと酷くもっともっとぐちゃぐちゃにしてやりたい。俺しか見れないように。俺しか考えられないように。 沸き上がる感情に逆らうことはしない。感情のままに飛段を壁に押し付けると、目に浮かぶ 恐怖は更に濃くなる。そうだ、それでいい。 俺だけしか見なきゃいいんだ。普通の目でも、今の目でも。 くすりと笑みを浮かべれば、飛段は息を静かに 飲み込む。顔には恐怖と緊張と、その中での悦楽が浮かんでいる。 ああ、ああ。もっと、もっとだ。こんな表情じゃあ満足もできない。足りない。


「飛段」
「…っ、」


前髪を引っ付かんで壁に叩き付ける。がつ ん、なんて音がした。 乱暴に口付けると、首を振って嫌がる。 壁に叩き付けて固定した手に力を込めて押し付けるようにすればもう飛段は動けない。 ぬるり。舌を無理やりねじ込ませた。 ん、ん、なんて嗚咽を溢し始めた飛段の上着を半場無理やり乱暴に空いた片手で脱がしかかる。 またも抵抗しようとする飛段に苛ついて、もう一度壁に叩き付けた。 ごつ。鈍い音と、飛段のうぐ、という呻き声が響く。その声だけで下半身がずくりと重くなる俺は重症だろうか。それともこいつのマゾ気に当てられているのだろうか。それを紛らわすように首筋に舌を這わせると 呻きと喘ぎが混ざって更に疼いた。 逆効果か。肌と肌が密着するのがどうも疼いて仕方がない。 壁から引き摺るように床へ押し倒した。 涙をほんのり浮かべた目が俺を見る。
そして欲しがるような目をして、俺に跨がった。俺と視線を交わすとびくりと揺れる肩。垂れ下がった眉。涙を浮 かべる瞳。震えている身体。上気した頬。全てが俺の上に存在している。俺が飛段をこ うしたこうさせた。ぞくぞくと沸き上がる欲は留まることを知らない。


「かく、ずぅ、」


ふ、と息が途切れて聞こえる。ぞくり。背が 震えた。 ずぷずぷと卑猥な音を立てて飛段は俺を飲み込んでいく。ゆっくりゆっくり、息を吐きながら。 下から突いてやろうかと思ったが、飛段の余裕 なさそうな顔を見てやめておいた。 突いてやってもよかったがあまり酷くしてまたうるさく喚かれるのは御免だ。 全てが入った所で、誘うように飛段が俺を見 る。その表情の艶やかしいこと。 動け、と声を言葉に乗せてやれば、飛段はぎゅ、と眉を寄せて、ゆるゆると腰を動かし始めた。

「かく、…!ぁ、あっ」

なんて淫乱な姿だ、と思った。 時々動いてやると飛段はびくんと肩を揺らして 身体を仰け反らせる。 その姿が楽しくて仕方ない。 荒く息を吐いて、飛段は俺の上で腰を振る。 その姿が、その表情が。すべてが。 反るように立った飛段のものを上下に擦ってやると、一層声を上げて飛段は締め付けた。 は、は、と徐々に息が荒らさを増す。 擦られて気持ちがいいのか、ぶっ飛んだよう に腰を振る飛段。 自分の腰を振る速さと呼吸が合わないのか、 飛段は息を引きつらせた。


「ひとりで楽しそうだな、飛段」
「ぁ、はぁっ、、」
「酸欠で頭が可笑しくなりそうか?」
「は、わ、わか、わかんね、え、あっ、はあっ、かく、ず、かくず、は、はぁ、かくず、」

ひたすらに飛段は俺の名を呼ぶ。 ふわふわ朦朧とした意識で、俺を探しているのだろうか。飛段、と呼んで、擦る速さを速めてやると、更に一層腰を振り始めた。 一心不乱に腰を振るその姿に、背になにかが 走ったような気がした。 震える。もしかしたら、奮えているのかもし れない。いや、多分そうだ。 飛段には負担がかかるかもしれないが、この興奮は当分収まりそうにない。





「もっと感じさせてやろうか、飛段」











窒息するふたつの呼吸







fin.


相互してくださった方々に捧げます///















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