*静臨
*来神設定
*シズちゃん=天然攻め









「臨也てめ……、俺のプリン食っただろ!!?」


その日、シズちゃんはぶちぎれていた。俺がプリンを食べたがらという、子供っぽい理由で。

昼休みの終わりを知らせるチャイムはとうに鳴り、新羅やドタチン、もちろん他の生徒たちも教室へと戻っていた。俺たち以外はの話しなのだが。


「よし殺す!絶対殺す!今すぐ殺す!プチッと殺す!!」

「いやいや、虫じゃないんだからプチッとなんて無理だって」

「てめぇは虫だろノミが!!!」

「うるさいよ化け物が」

「っ!? てんめ…!」


ああ、さすがにマズいかなーなどと余裕の笑みの下で考える。ここは屋上だ。うん、俺は現在進行形でシズちゃんに追いつめられている。


「もうさシズちゃん、プリンごときでそんな怒んなくても良いじゃん。ね?」

「プリンごときって……ふざっけんな!あのプリンはな、売店の限定品で1ヶ月に一回しか売ってねえんだぞ!?それをお前は、お前は…!」

「うん、プリンは凄く美味しかったよ。ごちそうさま」

「てんめぇ…」


俺の襟元を無理やり掴み、そのまま近くにあったフェンスに押し付ける。


「今すぐプリン返せ」

「いや、無理言わないでよ」

「……そんなに、美味しかったかあのプリン?」

「うん、絶品だったね。まだ口の中にプリンの甘い味が残ってるよ。あーあ、このプリンを味わえなかったなんてシズちゃん可哀想。本当に残念だった」


「ね」という最後の一文字だけは、何故か口から出なかった。出なかったと言うよりは、シズちゃんが俺の口を塞いだと言った方がいいか……。で、何で俺はシズちゃんにキスされてるわけ?


「ん!? ふ、ぅ…」


クチリと、キスをする音がする。そしたら突然、『甘ぇ』という声が直接、俺の頭に響いてきた。

え……。


「ん?ぁ……シズ、ちゃ」

「……少し、黙ってろ」


グッと唇を強く合わせると、また頭に響いた声。


『本当にまだ臨也の口ん中、プリンの味残ってる。うわ、ムチャクチャうめぇし……。臨也の野郎、こんな美味いもん独り占めしやがって』


「つっ…、ぷはっ」


口同士を離し、思い切り自分の肺に酸素を取り入れる。


な、なに今の声。


シズちゃんとキスしたら、頭の中に入ってきた。しかもシズちゃんの声だったし……。

いやでも、キスしてたんだからシズちゃんは喋れなかっただろうし……って、キス?え?俺、シズちゃんとキスした?何で??


「し、シズちゃ、あの……っ」

「あーもう、足りねえ」

「へ?あ、ちょ……んん!!?」


舌をねじ込ませながら、またシズちゃんは俺に唇を合わせる。

う、わぁ……。


「ん、ふゃぁ……しぅ、ちゃ…っ」

「ん……いざや…っ」


俺の名前を呼ぶ声と同時に頭に響いたのは、『おかしい』という疑問の言葉。


『おかしい』

さっきから聞こえるこの声、いったい何なんだよ。

『おかしい』

もしかして、シズちゃんの心の声?

『なんか』

あり得ないことだけど、そうとしか考えられないし……。

『すげぇ、』




『臨也が可愛くみえる』




………は?


「んんん!?」


スルリと、俺の短めの学ランにシズちゃんの手がかかる。そのままシズちゃんの手は俺の中にどんどん侵蝕していき、終いには胸の突起をピンとはじいた。


「シズ、ちゃ…っ!!?んん、ふ、ぅあ…」

「黙ってろっつってんだろ」

『……やばい。なんか、止まんねぇ』

「だって、何でこん、な…っ」

「うるせぇ」

『なんだよ。何でこんなノミ虫なんかが、こんな可愛くみえんだよ。もしかして、俺……』

「いいから手前は、大人しくしてろ」

『臨也のこと、好きなのか?』


☆●◇×△★※▼!!!!???


「シズ、ちゃ…っ」


好き!? シズちゃんが俺を!!?

いや、ないないない。ないって。あり得ないってそんなこと。

シズちゃんが、俺のこと…好き、なんて……


「……シズ、ちゃん」

「あ? 何だよ」


キスをやめ、だけど服の中に手を入れたまま、シズちゃんが疑問符を俺に向ける。

そんなシズちゃんに、俺は……


「キスしてた時ずっと、シズちゃんの心の声が聞こえてたって言ったら……どうする?」


すると、シズちゃんは一時固まり、次に、


「な、ななな、なな…っ!!?」


熟れた林檎のように、顔を真っ赤にした。





さあ、さっきは散々俺を狼狽させてくれたんだ。

次は、シズちゃんの番だよ?





***
無自覚で攻めなシズちゃん。
心がシズちゃんに読まれてもパニックだとは思うが、
逆にシズちゃんの心が読めても臨也はパニクると思うw

ありがとうございました!


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