#14 太陽に灼かれる
真夏を照らすその光に真っ直ぐ手を伸ばす
穢れを見せずに輝くそれに
誰もが目を離せずに惹かれていく
黄金色に輝いてゆく一面を見ては
僕もいつか輝けるのだと信じていた
上へ上へと伸びる向日葵に負けないよう
葉の下で光を求める小さな花は上を見上げる
離れればいいと分かっているのに
例え影を浴びても光を求めるのを辞められない
向日葵に近づこうとするマリーゴールドに
僕はそっと花弁を撫でた
#14 太陽に灼かれる
真夏を照らすその光に真っ直ぐ手を伸ばす
穢れを見せずに輝くそれに
誰もが目を離せずに惹かれていく
黄金色に輝いてゆく一面を見ては
僕もいつか輝けるのだと信じていた
上へ上へと伸びる向日葵に負けないよう
葉の下で光を求める小さな花は上を見上げる
離れればいいと分かっているのに
例え影を浴びても光を求めるのを辞められない
向日葵に近づこうとするマリーゴールドに
僕はそっと花弁を撫でた
#13 摘まれた羽
ふわふわの羽に包まれる
寝ぼけ眼でそっと頬擦りすれば
僕に温もりを残す大きな羽
まだ覚め切らない思考で周りを見渡せば
大きな翼に捉まり身動きも取れない
碌な思考も出来ぬまま
ふわりふわり。
流されてしまえば
夢の中へ引き摺られる
目覚めの珈琲の香りに酔いしれて
白い羽根を掻き混ぜてしまえば
もう後には戻れない
にがいにがい、そんなおはなし。
#12 亀裂に酔う
僅かな隔たりは重なり透明な罅が入る
気付かず手に取ったそれに水を注げばもう手遅れ
見えない罅から水が溢れ、グラスも割れる
どれ程修復しようとしても完全には戻らない
「今までのどれよりお気に入りだったのに」
それを壊した切っ掛けが僕だとしても
それを直せるのは僕じゃない
#11 夜闇に飛ぶ
息を止める。
喧噪から逃れるように耳を塞ぐ
光が眩しくて目を瞑る
今日が終わらぬように上を見る
どうしたって消えゆくのに、
僕はそれを認められない
弱い心を見透かすように君は
僕を箱へと押し込んだんだ
ねえ、もしも僕がこの夜に消えたのならば
僕はあの光になれるだろうか
残念だけど時間切れだ
#10 失われた過去
此処に在る僕は
全て僕が選んだ痕で。
ただ一つの選択の結果次第で僕は不在い
僕は此処に不在かったかもね、なんて
君は嫌だと言っていたけれど。
君の全てが塗りつぶされた今では
君さえいなければと願ってしまうんだ
あの時光をくれた君はもう不在いのなら
最初から逢わなければと願ってしまう僕は
本当のことなんて何一つ君に
伝えられていないのよ
#9 黒薔薇の花弁を編む
小さく囀る君が可愛くて、
奇麗な羽を震わす君が愛おしくて、
君が怪我をしないよう。
風切羽を丁寧に整える
さあ、できた。
これで好きなだけ自由に飛べる
疲れたらいつでもおやすみ
この籠の中が君の生きる場所だから
#8 ぼくはわるいこ
風に吹かれて飛ばないように
透明な檻で匣を創る
凛と奇麗な薔薇が咲く
どんな嵐が来ようとも
決して散ることの無いように
さあ、早く薔薇を探そうか
僕の為だけに咲いていてよ
#7 解かれぬ金縛り
夢を見ていた
永久に醒めぬ夢を。
貴方の後姿を感じた気がして
追いかけたって声も掛けられない
どうして、どうして、
貴方がかけた呪縛が
どうしたって解かれやしない
ずっとだなんてそんな嘘。
叶えもしないなら言わないで
お願い、夢でも近づかないで
永久に記憶から消えることはない
なれば今後足枷にはならないで
貴方に縛られはしない
嫌悪だけ抱くのは嫌だから。
いっそ無になれ。
さよなら、__。
#6 小さな燈火
ただ夢を見ていた
堰を切った様に水は止め処なく流れ、
泥をも飲み込み勢いを増す
この世界を呑み込むような水流
呆然と流されていた
ふと。
暗闇の中でゆらりと揺らめく
怖い。私が私で無くなってしまう。
気が付けば縋り付いていた
それは。
激流に呑まれても決して消えることのない
ひかり。
#5 水面に揺蕩う
きらきら煌めく世界
時間も忘れ、息を呑む
穢れた空気とは裏腹に
透き通るような箱の中で泳ぎ続ける
いつからだろうか
この場所から動けなくなってしまったのは
「でもね」
「ここに来たいといったのは君だよ」
真っ暗闇の中、目を瞑る
ただ醒めない夢を見る