あー、ずるい。

何でこんなにカッコイイんだろう奈良君は。

何がカッコイイって、全てにおいてカッコイイ。彼の主成分は格好良さで出来てるよ絶対。

だってほら、ただペン回しをしてるだけなのにあんなに様になってるもん。ナルトやキバじゃあんなふうな知的で出来る男っぽいオーラはこれっぽっちも滲み出てこないだろう。

そんな奈良君の席は、何とも運の良いことに私の隣だったりする。2週間ほど前に行った席替えで、見事に奈良君の隣を引き当てる事が出来たのだ。

しかも、場所は窓際の列の一番後ろ。つまり、この席は場所的にも私にとっては最高の席なのだ。

一粒で二度美味しいとはまさにこのこと。毎日毎時間奈良君の姿、顔をこんなに近くで見れるなんて、これを幸せと呼ばずに何と呼ぶのだろうか。





あー、ちくしょう。

何でコイツの隣になっちまったんだ、俺。まともに授業受けられやしねぇ。全部意識が隣に持っていかれちまう。

今だって、先公のかったるい講義なんぞをあんなに真剣に聞いてやがる。(休み時間の活発さとはえらい違いだ)

と思ったら、ペンを持ってる方と逆の手で頬杖を…くそっ…!可愛いじゃねーか…!!

そんなコイツ、みょうじの席は、幸運な事に俺の隣だったりする。2週間ほど前に先公の気まぐれで行われた席替えでこの席を引き当てたのだ。

この時ばかりは自分の運の良さを褒めても良いんじゃねーかと思った。

みょうじの隣なんてこの上ないベストポジションだと思う俺は、もしかしたら他人から変態なんて言われちまうかもしれねーが。(勿論自分にそのつもりはない)





そんな幸せに包まれながら授業を受けている今までの2週間、正直先生の説明なんてまともに頭に入ってない。

奈良君に少しでも良く見てもらいたくて熱心に先生の話に耳を傾けているふりをしているけど、多分このままいったら次の試験では

真っ白な答案用紙を提出することになるだろう。それは嫌だな。いくらなんでも。


「じゃーこの問題、みょうじ解いてみろ」


そんなことを考えながらボーっとしていると、先生にご指名されてしまった。

やっべ…、ボーっとしてたから先生の話一つも聞いてなかった!!

まぁ、聞いてたとしても苦手な数学だから解けなかったと思うけど…。いや、そうじゃなくて!!

どうしよう。全然わかんないよ…。そうこうしている間にも先生(+数人のクラスメイト)の視線が痛い。あああ、こんな事ならもっと真面目に授業受けるんだった…!!






そんな風に実にめんどくせー事を考えてると、先公がみょうじを指名する声。

チラッと隣の顔をみれば、さっきからピクリとも動かないでいる。何だ?気付いてねーのか?


「みょうじー、この問題だー」

「は、はい」


いや、気付いてねーわけじゃなさそうだ。あ…?もしかして、答えが分かんねー、とか?


「…216」

「え…?」


試しに答えをボソッと呟いてみると、一瞬何の事か分からない様な顔をしたが、すぐに、


「に、216!!」


そう答えてホッと息を吐いた。


「ありがとう、奈良君」


そしてとびっきりの殺人級スマイルを俺に向けてきた。だから…!!それは反則だっつーの!!






わわ、どうしよう…。全然わっかんないよ…!!突然のことに、私の脳内はパニックを起こしていた。今なら頭パーンてなりそうなんだけど!!

そんな(私にとって)絶体絶命のピンチの時、ボソッと私にしか聞こえないような声で数字を呟く奈良君。え、もしかして…


「に、216!」

「はい正解」


気付いた時にはそう答えていたけど、じぇ、じぇんとるまんだよ奈良君!!おかげで私がバカなのはばれてしまったけど、そのさりげない優しさ!

やっぱり私の目に狂いはなかったのね…!!


「ありがとう、奈良君」

「…気にすんな」


慌ててお礼を言うと、奈良君はそっぽを向いてしまった。






そんな事があってから数十分。まだ授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る気配はない。

ったく…。俺はいつまでこの生き地獄を味わわなければいけないのか。

せっかくコイツが隣になってからはちゃんと授業に顔出すようになったのに、まるで意味がない。

変に隣を意識しちまってどうしようもねーよ…。

もし、俺がみょうじに気があるなんて本人の耳に入ったら、コイツはどんな反応をするんだろうか…?嫌がるか?それとも…?

いや、いずれにしろ、俺なんかは眼中に無いだろう。女はサスケみてーなクールな奴が好きって相場は決まってんだ。

元々俺はイケてねー派なんだから、‘それとも’なんて可能性は限りなく0に近い。





さっきの事があって、私はますます奈良君を意識するようになってしまった。もう…!何であんなに紳士的なのよ!!変に期待しちゃうじゃない!!

え…、期待?私は何に期待してるんだ?奈良君みたいな人がわた、私に気があるかも…?いやいや、それはないでしょ。

私みたいな凡人を奈良君が相手にするわけがない。でも、万が一、億が一にも、奈良君が…その、私の事をす、好き…とか言ってみたりーって…。

いやいやいやいや!!!ない!!ないねそんなこと!大体、奈良君はじぇんとるまんなんだからどんな女の子にも優しくするよきっと!

私だからとか、そーいうんじゃないから!!何考えてんの私!!どんだけ図々しいの私!自分で考えてて恥ずかしくなってきたわ…。






でもよ…。このままいるのもマズイよな。大体、俺はこれからもいちいちコイツの仕草に反応しなくちゃいけねーのか?それこそ俺の身が持たねーよ。

さて、どーすっか。このままいるのはマズイ。じゃあ答えは一つ。





でもさぁ…。ぶっちゃけ私もう限界なんだよね。これから先もずっと奈良君の行動一つ一つにドキッとしてたら、それこそ私の身が持たない。

私の心臓はミジンコ並みの大きさなんだよコノヤローっ!!

じゃあどうしようか。このままではいられない。となると、すべき行動は一つ。






好きと言えたら

(たった一言でいいから、)
(私達に一握りの勇気を!!)






――――――

ふ、不完全燃焼…orz
もっと甘酸っぱい感じにしたかった…(希望)
今回は普段しないような文の書き方にしてみましたが…。どうでしょうかね?
目がチカチカしたらごめんなさい(笑;)

では、ここまで読んでくださりありがとうございました!!



失くしたココロ様よりお題お借りしました。






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