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ある日の昼下がり―――
俺は縁側で一人雲を眺めていた。
あー、いつ見ても雲はいいよなぁ…。
こんな日は何もしねぇでゴロゴロするのに限るぜ…。
「シカマルー!」
「んぁ?」
そんな事を思っていると、不意に母ちゃんから声を掛けられた。
なんだかめんどくせぇ用件な気がするのは…気のせいか?;
「シカマル、ちょっとおつかい行ってきてくれない?」
「はぁ?!何で俺が!」
「さっきなまえにも頼んだんだけど、断られちゃったから……」
母ちゃんはため息をついて言った。
どうやら、俺の予想は当たっちゃったみてぇーだな…。
「大体、何で姉貴は断るんだよ」
「んー?」
当の姉貴は部屋の中で大の字になって寝ている。
「ただ寝転んでるだけじゃねーかよ」
「いや、精神を統一させてるんだなーこれが」
「嘘つけ!早く買い物行ってこいよ!」
「やだよーだ!アンタが行ってきてよ!」
姉貴は依然として畳で大の字になったままだ。
この姿からはどこにも“姉”らしさは感じられねぇ…。
「姉貴が行け」
「いやだ!!」
「お前それでも姉かよ!;」
「めんどくせー」
「俺の口真似すんじゃねぇー!!」
「…あんた達……」
「「…!!」」
と、ここでついに母ちゃんの怒りが爆発した…。
「もう、2人で行ってきなさい!!」
「「はぁーっ!?」」
俺と姉貴の声が見事に重なった。
ありえねぇー…
いくら何でも、2人一緒はキツイだろ…。
「文句ある…?」
「「……;」」
「じゃ、コレお財布と買うものリスト。お財布落とさないようにするのよ」
それだけ言うと、母ちゃんは部屋を出ていった。
去りぎわに“よろしく♪”と残して…。
「…どうする?」
「あんな顔して言われたら断れるわけがねーだろ…」
「……うん」
そして俺達も、財布とメモを持って渋々家を出た。
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