おみくじを引いてからしばらく動けないでいると、(さすがに石になってる副長を置き去りにはできないし)向こうのほうから私たちを呼ぶ声がした。
「おーい、3人とも!!」
「あ!近藤さんですよ、副長」
あっという間に私たちの前に現れた近藤さんは、依然としてフリーズしたままの副長を見て‘何かあったのか?’と尋ねてきたけど、沖田さんの‘そっとしておいてやってくだせェ’の一言に、不思議そうに首を捻りながらも従ってくれた。
「で、どうしたんですか?」
「おぉ、そうだ。参拝客の数が落ち着いてきたんでな、引き上げる前に俺たちもお参りしていこうかと思って」
「本当ですか!!」
「あぁ。これでやっと初詣に行けるな」
やったぁ!!と思わず小さい子供のようにはしゃぐ私の頭をクシャっと撫でながら、近藤さんもニカっと白い歯を見せて笑ってくれた。
◇
一通りお参りが終わり、屯所に帰る途中。
「みんな何をお願いしたんだ?ちなみに俺は‘お妙さんと早くラブラブになれますように’!!」
「近藤さん、こういうのは人に言うと叶わなくなるって知ってました?」
「え、そうなの?!」
ギョッとした瞬間落ち着きがなくなった近藤さんは放っておくとして。
「どうせ土方さんは‘マヨネーズをたくさん食べられますように’とかですよね?」
「お前…!何でそれを…!!」
「何で他人にばれてないと思ってたのかを逆に知りたいです」
というか、マヨネーズ以外のことを真剣に考えている土方さんなんて想像もつかないわ。
「沖田さんは…」
「もちろん、‘今年こそ副長の座を手に入れられますように’でさァ。そして土方死ね」
そう言うや否や、どこからか持ってきたバズーカの照準を土方さんの頭部に合わせる沖田さん。
「おい、何で年明けすぐに殺されそうになってんだ俺ァ」
「早速おみくじが当たってるみたいですね副長」
「まぁ、例え大凶じゃなくて大吉だったとしても、俺の前には関係のないことですけどねィ。ってことで早く死ね土方」
「お前が死ね沖田」
「死ね土方」
「死ね沖田」
「死ね沖…あ、間違った土方」
そんな物騒なやり取りをしている二人をボーっと眺める私。
すると、いつの間にか落ち着きを取り戻した近藤さんもそれを眺めながら私に聞いてきた。
「なまえちゃんは何をお願いしたんだ?」
「私の願い、ですか…?」
「うん、そうそう」
近藤さんはニコニコと私が答えるのを待っている。けど、教えない。神様がお願い聞いてくれなくなっちゃったら嫌だもん。
「ふふ…内緒です」
望みはただ一つ
‘今年もみんなと楽しく馬鹿やっていけますように!!’
―――――
と、いうことで皆さま明けましておめでとうございます!!
えー、久々に最後まで書ききった短編…、もはや短編かどうか微妙な長さになってしまいました^^:
(やってほしいこと、言ってほしいことをすべて入れたらこうなりました)
そしてこれは恐れ多くもサエさまに捧げたいと思います。
というか、元々サエさまの大学合格を祝して何か一つお話を書くという約束だったのですが…。
こ、こんなにお待たせして申し訳ないです(汗)そして全く受験とは関係のない…(汗)(汗)
こんなものですが、受け取っていただけたら嬉しいです^^
手直し・お持ち帰りはサエさまのみOKです。
音月 奏
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