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木の葉の里での生活にもほとんど慣れてきた今日このごろ。
私はいつものごとく綱手様のパシ…雑用係として働いていた。
ちなみに、今はちょうど買い物が終わり両手が荷物でいっぱいになっているところだ。あとはこれを綱手様のところに持って行けば任務完了なんだけど…。
荷物の重さでフラフラとおぼつかない足で歩いていると、たまたま通り掛かった河原に人影を発見。その人は大きなキャンバスいっぱいに絵を描いていた。
ちょっと近付いてみようかな。確かあの人はシカマルから見せてもらった写真の中に居た気が…。
「何やってるの?」
「あぁ、琴音」
私は、人違いだったらどうしようと若干緊張しながら、だけどなるべく自然にその人の背中に声を掛けた。
すると、その少年は私の方に顔を向け、ニコッと笑って私の名を呼んだ。
よかった。人違いではなさそうだ。
「今、絵を描いているんだよ」
「え、まぁ…見れば分かるけど」
どうやら質問の仕方を間違えたみたいだ。私が聞きたかったのは何を描いているかだったんだけどな。
「琴音は?何、その荷物」
「これ?これは今から綱手様のところに持っていく物」
「あぁ。そういえば火影様のパシリに任命されたんだったね」
「!!…パ、パシリとは失礼な!!私の仕事は綱手様の身の回りのお手伝いであって、そんなパシリなんかと一緒に――」
「でも、実質パシリと変わらないでしょう?」
そういいながら、サイは私の両手にぶら下がっている荷物達を指差した。くっ…何か悔しい!!そのニコニコした表情も何か腹立つ!!
…あ、そういや、今自然にサイって名前でてきた。
「で、いつまで続くの?そのお手伝い任務は」
「(む、)さぁね。綱手様次第じゃない?」
「そうなんだ。早く戻れると良いね」
「…うーん」
逆に私は好都合だったりするんだけど。正直、今この状態で忍者の仕事をやれって言われても無理だろうし。
「まぁ、琴音がいてもいなくても任務のやり易さはあまり変わらないけど」
「ちょっとちょっと。それどういう意味」
「そのまんまの意味だけど」
「この野郎…!!」
何だこいつ。天然なの?わざとなの?
「それから、早く持って行った方がいいんじゃないの?それ」
「…あ」
サイは再び私の持っている大量の荷物を指差して言った。そうだ。こんなところでフラフラしてる暇はないんだった。あんまり遅いとあの人すぐ怒るからなぁ…。
「早くしたほうが良いんじゃないかな」
「う……」
サイの言葉に、思わず綱手様の鬼のような顔を想像したけど、すぐに消し去った。
「まだパシリ任務は終わらなそうだね」
「うるさいよォォ!!」
私は両手の荷物をもう一回抱え直し、急ぎ足で綱手様の元へ向かった。
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