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一瞬、思考回路が全て停止した。

いや、ちょっと待ってよ。今この女の子、何て言った…?


「琴音!何やってんの!」


やっぱり、幻聴じゃなさそうだ。何でこの子私の名前知ってんの!?


「ほら、綱手様があんたの事呼んでるのよ!!」

「…ツナデ、さま?」


ツナデ様って誰?てか、私の事呼んでるってどういう事…?

全くもって思考が追いつかない。え、何この展開。既に頭ショートしそうなんだけど。


「ツナデ様って、誰ですか?」

「何バカな事言ってんのよ!そこまでして任務サボりたいわけ?」

「任務って、え?何」


ピンクの髪の女の子は、呆れたようにそう言った。

いやいやいや、こっちは見知らぬ土地にいるって時点で頭の中めちゃくちゃなのに、

会ってからものの数秒でバカ呼ばわりですか、あーそうですか。


「いや、あの、私本当に心当たりが無いんですけど。てか、任務って何の話ですか?」

「話は後。とにかく!綱手様の所にいくわよ!」

「ちょっ…何で強制連行なんですか!!」


ツナデ様かなりのご立腹よ!などと言いながら、女の子は私の腕をガシっと掴んだまま走り出した。

結構、いやかなり痛いです。そんな力この子のどこにあるんだ…?













数分後。


私は、謎の女の子にほぼ強制的に変な建物の中に連れて行かれた。

そして今、1つのドアの前に辿り着いた。


「綱手様、琴音を呼んできました」

「入れ」


中から聞こえてきたのは、いかにも気が強そうな女性の声。

そしてドアを開けると、そこには1人の綺麗な女の人が微笑みながらこちらを見ていた…









…らいいのになー。

実際は物凄い形相でこちらを睨みつけていた。

ちょっ…!!折角のお綺麗な顔が台無しですよお姉さん!!


「こ、こんにちはー…」


とりあえず挨拶をしてみる。


「……」


ど、どうしようっ!!無言でこっち睨んでくるよ!!しかもさっきより怖い!


「あ、あのー…」

「サクラ、ご苦労だったな。もう下がれ」

「はい。失礼します」



バタン……


ドアが閉まると、余計に気まずい空気が流れる。もっとも、気まずさを感じているのは私だけだろうけど…。





「琴音、」

「な、何でしょう?」


しばらくの沈黙の後、ツナデ様という女性は静かに私の名前を呼んだ。

てか、さっきの女の子といい、この人といい、何で私の名前を知ってるのかな…


「お前ってやつは…。一体どれほどの任務をサボれば気がすむんだ!!」

「…っ!な、何で怒鳴るんですか!!」


いやいや!!わけ分かんないから!!私何も悪いことした覚えないから!!つい数時間前まで真面目に学業に取り組んでたからァァ!!

…などと、心の中で思いっきりツッコミを入れてみる。(あくまでも心の中で)


「とぼけるのも大概にしろ!!今日という今日は許さないからな…」

「ちょ…っ!!少しは私の話も聞いてくださいよ!任務って何ですか!!本当に心当たりないんですけど!」

「お前の嘘は聞き飽きた。いいか、そんなに任務が嫌ならな…」


と、ツナデ様はそこで言葉を切り、息を思いっきり吸って怒鳴る。









「しばらくお前は私の周りの雑用係だ!!いいな?」









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