※卒業後
辺りが闇に包まれるなか、佇むは二つの影。
どちらも頭巾を被り口元を覆い、唯一見える眼はぎらり獣の様に煌めいている。
互いに別の道を歩み始めて数年。再びの逢瀬は、非道く儚いものだった。
─かの箱庭での日々は今でも二人の中に光り輝いている。
しかし、それはあくまでも過去であり、記憶の一部に過ぎなかった。つまりは、そう割りきれるほど闇に染まってしまったのだ。
二人、示し合わせたように同時に忍者刀を取り出し構える。
例え彼方に、愛する者が居ようとも。一撃必殺の刃は鈍く煌めく。
恋人たちの殺し合い。
端から見ればそれは滑稽で、もしかすると俗っぽい悲劇になりうるような。
大衆は彼等に涙するだろう。なんて不幸な二人なのだろう、と。
しかし、彼等は言い放つ。
本気で殺そうと思ったのはお前だけだ
(そう、彼等は知っていたのだ。)
(其れもまた、恋情のひとつだと。)
お題:DOGOD69様