庭球夢 | ナノ

 My Name Is ... ! :2

「菊丸先輩!桃せんぱーい!!」
俺は自転車にまたがる二人の先輩のところにかけながら、軽く頭を下げた
「おお、やっときたかおチビー!って、んにゃ?」
「なんだよ越前!どうしたんだよー!」
「すいません!俺、やっぱり今日は一人で帰ります!」
立ち止まってそう断って、俺はミョウジ先輩の待つほうへ走った。
「は、はぁぁあ!?」
「にゃんだよおチビー!・・・たく勝手だにゃあ。しょーがない、桃ー俺らだけで行くかあ」
「そうッスねえ。 ったく。」




靴を履いて下駄箱を出ると、丁度彼も来たところのようだった
「アンタさ、家どっち?」
「はい?何で聞くんですかそんなこと」
「まあ一応?」
だって、家の方向真逆だったらちょっと申し訳ないじゃない。
その場合は一人で帰ろうと思いますよ
「あっち、スけど」
彼が指差した方向は、私が目指す方向の後ろ側
つまり真逆だったわけだけど・・・
「委員長、その顔じゃどうせ反対なんでしょ。いいんスよ、俺が送るって言ってるんだから」
そういってずかずかと先陣を切る。
「・・・あ、ありがと。」
なんか気持ち顔が熱いような・・・
なんでさっきからこんな・・・・・・

「委員長。」
「ねえ委員長」
家までの道のり、帰国子女くんの切り出しは全部それだった
「そんでさ、委員長。手塚部長が・・・」
「ね、ねえ!」
なんか委員長って呼ばれ続けることに耐え切れなくなっちゃったみたいだ

本当は分かってた

さっきから、ドキドキしてる自分がいること。
図書室の扉が開いたとき、どうせ先生かなとは思いつつも、期待していた自分がいたこと。
ドキッ っていうのが、ビックリしたからじゃない、胸の鼓動だったこと。
私が、この越前リョーマに・・・


惹かれていること。


だから、名前で呼んで欲しいと思ってしまったの
委員長なんて、肩書きで呼ばれても嬉しくないし。

「な、なんスか・・・?」
「いい加減、その・・・委員長って呼ぶの、やめてくれない!?」
「え・・・」
「わ、私には・・・ちゃんと、ミョウジっていう名前が・・・」
なんてアホなことを言ってるんだろう私は
そこで名前じゃなくて苗字を言うところも臆病ものだし。
恥ずかしくて、前を歩く彼の顔が見れなくて
うつむく。
ツカツカツカ・・・
足音が近づいてきて、顔を上げると


「ナマエ、先輩」

!!

「へ!?」
「はははっ 今のは効いたでしょ。 どう?惚れたッスか?」
「は・・・はあ!?」
不意を突かれ、驚き頬を真っ赤にする私をよそに、彼は独白する
「俺だってさ、帰国子女くんなんて名前じゃないんですけど
 My name is Ryoma.
 このくらいの英語なら分かる?」

誰でも知ってるような一言でも、発音が良いから一瞬なにかわからないでいたけど
「なっ!仮にも先輩に向かって・・・!そのくらい誰でも分かるわよ!」
「わかるんジャン。じゃあ、ほら・・・俺の名前は?」
急に真顔になって言う。
その表情にもドキッときたんだけど、なんかはめられてるみたいで悔しかったから
「越前」
と答えた。

「・・・ナマエ。」

っ! 私より少し低い位置から、上目遣いで見る。
ちょ、ちょちょちょちょっと!それは反則でしょ・・・!!

「ナマエ先輩さあ。手塚部長のことは手塚って言うし、
菊丸先輩のことは英二って言うし!不二先輩に至ってはふーちゃんじゃないッスか!
なのになんで俺だけ・・・!」
そう言ったときの彼は、年相応に可愛らしい顔をして
あんまりそれが可愛かったもんだから、ついに吹き出してしまった。
「あ、あははっ!あっはっはっはっはっはっ!!
そ、そんな風に思ってたの!?か、可愛いなあもう!
・・・・・・・・・・・・、リョーマ。」

「!」

「ごめん、ごめんね!あっははは! これからはちゃんと、名前呼ぶから。」
「うぃッス」
照れたように返事をして、帽子を目深にかぶりなおして 私の横に並ぶ。
そして満足したように笑って、こう言った

「俺も、ナマエ先輩って呼ぶから。 文句無いッスよね?」
悪戯なその顔もまた可愛らしくて、なんだか抱きしめたくなっちゃったけど、それは堪えて、と・・・
「はいはい。 分かりましたよー」


あと少しの帰り道
私はもう幸せで。
明日からの活動は、もっと幸せになりそう♪



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これが夢小説初めての作品ということになります。
誤字脱字、感想などありましたら是非、ClapまたはMailで^^

南風



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