庭球夢 | ナノ

 ROBOT :2

ミョウジナマエさん。

実は幼稚舎のころから何度か同じクラスになったことがあって、幼いながらも優秀で美しかった彼女に目を奪われていた。
もっとも、彼女は俺のことなんて毛ほども気にしたことはないのだろうけど...
そんな風にかれこれ7年以上彼女のことをみてきた俺には分かる。
皆は無表情≠セと言っているけれど、そんなことはない。

ミョウジさん...幼稚舎のときはよく笑っていたのに......。
この前の英語の授業の時だって、あの顔は...
分かりにくいだけで、ミョウジさんにも表情が有るんだ。
今だって、あの、虫を見て引いた俺を「所詮アンタもそんなものね」とでも言うように見ていた。

「所詮、アンタも私を救けられないのね。」とでも言うように---。
これは、俺の思い込みかもしれないけどね......。
ミョウジさんはきっと、救いを求めているんじゃないかと思うんだ




ROBOT-2




しばらくすると、クラスの人間は私のことを気にしなくなった。
私があまりに無反応だからつまらなくなったんでしょう...
去年は阿呆な奴らばかりで、いつまでもちょっかいをかけきていたけど、今年は変わったみたいね。
自分勝手なクセに飽きっぽいなんて、最悪だわ。(私は楽でいいのだけど)
まるで、私がそこにいないかのように振舞う
グループ活動をするとき、私だけは個人的に作業。
係りや仕事を決めるとき、私には当たり前のように何もナシ。


私にとってそれは、ありがたいことであるはずなのに......
頭が、グラグラしてくる...体の中がぐちゃぐちゃになる気分...
ひどい高熱が出た日もあった

なんなの... なんなの...!?




「ミョウジさん」
背後からぐさりと刺されたような感覚だった
「おお、とりくん...」
「え、あっ、ミョウジさん、そんな顔するんだね」
「え?」
冷静になってみると、私はすごく驚いた顔をしていたようだった
「あぁ、いやゴメン。消しゴム落としたでしょ?ハイこれ。」
「あ、ありがとう......」
「?ミョウジさんどうしたの?」
「...私の、名前を呼ぶ人がまだいたなんて、思わ、なくて...」
「え? どういう...」
「いえ、なんでもないの。ごめんなさい。消しゴムありがとう」

私はとりあえず教室から逃げ出してしまったけど、次の授業は別に移動教室じゃなかったから、時間稼ぎにトイレに行って戻った。




どういう意味かなんてわかってる。
最近、ミョウジさんはクラスから消されて≠「る。
意図的にだとは思うけど、あまりにも自然に
まるで本当にその場に彼女がいないかのような...... 怖い、くらいに。

だからミョウジさんは、久しぶりに名前を呼ばれて驚いたんだ。
分かってる。 ......分かってた。
彼女がそんな風に避けられていることも、それに対して何もしてこれなかった、していない自分も。

行動をしなければいけない。
いや、したい。
ミョウジさんを救い出す、光のある方へ。
ロボットなんて、呼ばせない。思わせない。


俺は知ってるから。

君にも笑顔があるってこと...!




その日もいつもどおりだった。
前に鳳くんが話しかけてくれた(といっても消しゴムを拾ってもらっただけだけど)ときに、
なんだか心臓の奥の方がぐっと熱くなったような気持ちになったけど、それ以降はなにもなし。
いつもどおり、のはずだった。

掃除も終わった放課後、ゴミ捨てに行っていた私は一番最後だった。
誰もいない教室

それは突然起こった。

「...ッ?!うっ......」
息がし辛くなって、頭はガンガン内側から叩かれてるよう。
ひどい目まいがして、立っていられなくなった。
「ぐぅ...な、に......!?」
苦しい... くるしい... 何よ... 何が...
誰か......!



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はい、二話目です。
視点変換が多くて、なんだか長いように感じますが、実際はそんなでもありません

次で終わります。
是非お付き合い下さいませ

南風


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