庭球夢 | ナノ

 ROBOT :1

ロボットみたいな女だ。-----とよく言われる。

たしかに私は怒ったところも、泣いたところも......笑ったところも、見せたことがない。
というより、しばらく表情を出していない。
もう、どうしたら笑えるのかなんて分からない。
いつも無表情 自分でも分かっているけれど...

英語の時間に洋画を見たとき、皆は感動してわんわん泣いていた。
偶然隣に座っていた長身の犬みたいな彼は、特に。

それでも私は何も感じなかった 何故、彼があんなにも泣いていたのか...ちっとも分からないの。


鳳長太郎  私とは正反対の、人。
よく泣き、よく笑う、優しい人---




ROBOT - 1




「おいロボ子」
廊下を歩いていると、悪童らしさがこれでもかとにじみ出ているにやにや笑いをした男子たちが声をかけてきた。
見たことがあるようなないような顔だ。 同じクラスだったかしら
昼休みの今、時間にも余裕のある私は立ち止まった。
「お前さあ、これ片付けてくんね?」
「な〜んとも思わねえロボット女なら大丈夫だろ?」
クスクス...... 笑う彼らの足元には、主婦の嫌いな(と言っても嫌いなのは主婦だけではないが)あの虫の死骸があった。
黒光りする、アレだ。

私は一般庶民だが、氷帝学園はお金持ち学校である。
Gなんて虫が出るはずがない
きっと召使いだか執事だかを使ってわざわざ持ってきのだろう。

「.........。」
掃除のひとつも出来ないお坊ちゃまなのね...。




思えば、私がこんな風になってしまったのはこの氷帝学園に入ってからだった。
金持ちのお坊ちゃまお嬢さまだらけのこの世界で、いろいろな事を悟り、感情を出すことは=面倒ごとを起こしてしまうと考えて、心を閉ざしていった。
そんないきさつで、こんなロボット女≠ェ出来上がったってわけ。


しれっとした顔で教室からほうきとちりとりを取り出し、ソレを拾ってゴミ箱に捨てようとしたところ...
「何やってんだよ」
「こんなとこに捨てんじゃねーよ。オラ、外行け」
男子たちがそんなことを言い出した。

私はちりとりだけ持って無表情に動き出す。
後ろからは品の悪そうな笑い声が聞こえてきたが、特に気にしなかった。

「あれ?ミョウジさん、昼休みにちりとりなんて持ってどこ行くの?」
外に行く途中でウワサの彼と会った。銀色の柔らかい髪が揺れる

「鳳くん。...掃除を頼まれたのよ」
「そうなんだ。手伝お---. . .ッ!?」
「大丈夫。急いでるから」
彼は善意で私を手伝ってくれようとしたみたいだけど
ちりとりの中にあるモノを見て一歩退いた。
...虫は苦手そうだもの。当然の反応だわ。
私は驚く彼を無視して外に向かった



違う...!あんなっ、あんな顔させるつもりじゃなかったんだ......!!



next



------------------------
短めかもしれませんが、全部つなげると長いのであと二回ほど続きます。
個々が短いのでさらっと読めるか、な・・・?

私もGは死ぬほど嫌いですマジで

南風


back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -