庭球夢 | ナノ

 ハロウィンパーティーを抜け出して

午後7時
「ようこそ! 氷帝学園ハロウィンパーティーへ!」




ウィンパーティ抜けして




本日、ここ氷帝学園ではハロウィンパーティーが開かれている。
まあ、皆一様に仮装して豪華な食事にありついたり、榊先生のピアノに合わせて踊ったりと、そんなものだ。

氷帝の3年である私、ミョウジナマエも魔女の扮装で参加しているわけだけど...
こういう雰囲気って、どこぞの生徒会長でもあるまいし、慣れない。
出来ることなら逃げたいと考えているんだけど、はて...どうしようか

「ミョウジさん!僕と踊ってくれませんか?」
「ああ、ゴメンね。私ダンス下手だから〜」
「ワタシは上手い下手は気にしませんよ!どうでしょ...」
「ゴメンねー。今食べてんのよー」

こんな風にさっきから何人かの男子に誘われているけど、ゴメンねアンタらに興味ないの。
しっくり来ないのよねぇ...



「ナマエ」
黙々と豪勢な食べ物を喰らっていると、横からフォークが伸びてきて、私お皿から海老をさらっていった。
「亮!なにするのよ、今食べるところだったのに!」
狼の格好をした亮は口を開けて、いたずらっぽく言った。
「もう食っちまったよ」
「〜〜っ!私の海老〜!」
「また取ってくればいいだろ?つーか、お前アイツらと踊らねーの?」
亮の指すアイツら≠ニは、さっき言い寄ってきた男子たちだ。
見てたのね!
「なんかねー...気が乗らなかったのよ」
「なんでだよ?女子には人気のある奴らじゃん」
「ん〜......たしかに顔はいいけど...しっくり来ない」
女子人気No.1はアンタらテニス部でしょうよ。と思いながら答える。

「ふーん。じゃあさ、ちょっと抜けね?」

言うなり亮は私が答えるのを待たずに歩き出した
私の手を引いて。




少し歩いて着いたのは 教室だった。

「ふぅ 窮屈だったんだよあそこ」
「ふふふっ 似合わないしねっ 亮にあんなとこ」
「ウルセーよ!跡部じゃあるまいし!」
「まぁ私もあわよくば抜け出したいと思ってたけどね」


そこで会話が途切れた
私たちはなんとなく目が合って...


「ナマエっ」

私は亮に手を引かれ、二人の距離はぐっと縮まった。

「俺だったら...もし俺がナマエをダンスに誘ってたら、どうした?」
「え?な、なんでそんなこと...」
いつもと違う雰囲気の亮に私は戸惑って、上手く返せなかった。
月明かりだけの教室ということもあって、すごくドキドキしてた......

すると、亮は今度は顔をぐっと近づけた。


「なぁ...俺、今夜はオオカミなんだぜ...?」

!亮......
そうね。なら私は魔女...妖艶な魔女よ......

互いの唇が触れそうになった瞬間、私は自分の口元に人差し指を添えた。
少し距離をとって、言う。

「なら強引に...奪ってみる?」

「!おっ、まえ...」
カツ... そこで足音がした。
見回りの先生だ。
今の時間、生徒は教室に入っちゃいけないはずだから。
「ナマエっ」
私は亮が小声で呼んだ方へ...

カツカツカツ...
足音は遠ざかってくれたようだった。

でも、私たちはそのまま

「......亮」
「...ナマエ。好きだ......俺と、踊ってくれませんか」
「はい、もちろん。狼さんには逆らえないもの」


カーテンに隠れたまま...
私たちの唇は重なった。


ハロウィンパーティーを抜け出して、
狼と魔女は結ばれる。




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ブログの方でネタを募集した際に頂いた「ハロウィン」から。

相当恥ずかしいもの書いたと自分でも思ってるよ...
でもまあ、良いじゃん。((
宍戸にしたのはなんとなくです。

南風



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