庭球夢 | ナノ

 トクベツな愛の言葉

分かりきったことやって、思っとったんやけどなぁ...
オンナは分からんもんや...




トクベツ言葉




オレは屋上に来ている。
昼飯を屋上で食べようということになって、パンを買いに行った小春を待っているというワケだ
あんまり天気がいいもんだから、あお向けに寝っ転がっている。

すると、太陽光が遮られた。
オレと空の間に人影。 逆光で誰かは分からないが、オンナの様に見える
「...誰や?」
「ユウジ」
「!...ナマエか」
声を聞いたらすぐ分かる
ミョウジナマエ オレが一番仲良くしている女子だ。
オレは寝転がったまま会話を続けた
「何や、何か用かいな」
「あのさぁ...ユウジ......」
表情は伺えないが、少し言いにくそうにしているのが分かる
何や何や...? オレ何かしたか...??


「ユウジってさ、男の子好きなん?」
「は?」
イキナリ何を言い出すんやコイツは...
「好き?」
「まあ、フツーやな。」 テニス部のアホ共とか、仲のええ奴はおるし...
「じゃあ、女の子は?」
「はあ?オンナぁ?別に」
「私は」
「はぁあ?お前かてオンナやろ?...一体何が聞きたいんや?!」
「ほんなら!小春は」
「何ゆうとんのや。小春は男の中でもトクベツ、愛しとるわ」
「.........そう、分かった」
そう言ってナマエは突然駆け出し、屋上から出て行った。

オレの頬に水滴が落ちてきた。
なんや、汗か...?暑かったんならそうゆうたら良かったやん。



実が出て行ったタイミングで、小春が戻ってきた。
「ったく、何やったんや...アイツ」 オレが漏らすとすぐさま
「ユウくんナマエちゃんに何ゆうたん!?」 と小春が怒鳴った。
「なにて...別に小春はトクベツや、てゆうただけやけど...」
驚いて起き上がり、ボソボソと言うオレに小春は更に強く言った。
「それやないの!!馬鹿!!!ユウくんナマエちゃんのコトは何てゆうたの!!」
「え!?...いや、別に、何も...」
ムキャーッ! という音が聞こえてきそうなほど、
活火山がバックに見えるほど、顔を真っ赤にした小春は更の更に怒鳴った。
「ユウくんねえ!アンタナマエちゃんのコト好きなんちゃうの!?」
「え?え、そりゃ好きやで...。でもそんなんみぃーんな知っとるやろ?」
「女の子は言わんと分からんの!!!!!!」

え...え?え!?
だってオレとナマエは誰から見てもラブラブで(まあオレと小春もラブラブやけど)、
告白はまだしてへんけど、そんなこと誰もが知っとるコトで...

ナマエ...お前もしかして オレがお前んコト好きなん知らんの?!


「ナマエちゃんね、多分ユウくんが自分のコトどーとも思ってへんのやーって、今悲しんどるで。すれ違うたとき、泣いてたわ。」
「!!」 あれは、涙やったんか......
「分かったみたいやね。いい加減踏み込んでしまわんとアカンで。ナマエちゃん狙っとる子、意外とおるんやから」


オレは勢いよく立ち上がって下を見下ろした。

...なんちゅうバッドタイミングや...。いや、グッドか...?

丁度下で、実が同じクラスの男と話していた。あのカンジはそう、告白や!
ナマエは悩んでいる様子だった。
自信過剰かもしれないが、多分オレがはっきり好きだといっていたら、きっぱり断るはずだ。
でもオレがよく分からずに適当に返事をしたから、悩んでいるのだ。
と、思う。




ユウジは私のこと好きやと思っとった...。
でも、他の女の子と大して変わらないんやね......

涙ぐみながら外に出たら、同じクラスの中谷クンに話しかけられた。
「高崎サン。あの、オレ、高崎サンのこと好きです!」
「え?......えと、あの...」
ど、どないしよ!
私はユウジが好きやけど、ユウジはなーんとも思ってへんみたいやし
小春ばっかりで...多分これからも私のこと好きにならへんやろし......
中谷クン、ええ人やしなあ......

「おい ナマエッッ!!!」

悩んでいると、頭上から名前を呼ばれた。
こ、この声は... 上を見上げると、屋上からユウジがこちらを見下ろしていた。
ユ、ユウジ......
「な、何やねん......今更...」
「ナマエッ!お前はアホか!! 何で言わんと分からんねん!!!オレは、お前が...!!


  好きやアホ!!」

「!」
「おいそこの!名前忘れてもうたけど、そこの!」
「な、中谷だよ......」
「ナマエはオレのや!残念やったなあ? 早よお去ねやッ いてこますぞッ!!」
中谷クンはビックリした様子で、「一氏...彼氏だったんだ、ね。ご、ごめん!」と言って去っていった。
私としては、驚きが大きかったけど それ以上に嬉しくて...
それ以上に、言いたいことがあった。


「アホは余計やろ!! そんでもってそないデカい声でゆうてもうたらバレバレやないか!!皆知ってもうたわボケッッ!!!」
「元々知っとるっちゅーねん!!」


..........
........................
「え!?」

ユウジのその言葉に驚くと、私達のクラスから茶化したような拍手と口笛が聞こえた。
窓から身を乗り出したクラスメイト達は
「せや〜!むしろ一氏がアンタんコト好きやったん知らんかったのアンタだけやでー?」
なんて言っている。 ......嘘やろ!?
「おめでとー」
「やっとかいなー」
なんていう声も聞こえてくる。



「ナマエ。」

クラスメイトに気を取られていると、横から声をかけられた。
誰かは分かっている
走ってきたのか、若干息が切れていた。

「ユウジ。」
「分かっとると思とったわ...。 ナマエ、小春よりあ、あっ...」
顔を真っ赤にして彼は続けた。
全く...。あんだけの公開告白をしといて、今更照れんなや

「愛しとるで」
「......アホッ!」

私は彼に飛びついた。




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エセ関西弁。生粋の関東人です
今回は比較的セリフが多かったんじゃないかと思います。

そして「・・・」を「...」の方で書いてみました
色々と試した回ですねぇ
楽しんでもらえてたら良いです。

 南風



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